インサイド



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…はぁぁ…。

異動が決定致しました…。
でも異動は4月。明後日じゃないの!
こんなときに内示をくれなくったって!(泣)

人事課、やってくれます。
なんでも、今回の異動は史上希に見る大混乱だったそうで、全社的に作業が遅れております…。
なので、すみません、次の投稿は4月に入ってからになります。

次の予定はデレク・ジャーマンの「ガーデン」かな。
…停滞気味ですが、ちょっとお待ち下さいませ…。
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by azuki-m | 2006-03-30 23:37 | ■その他日記

「隠された記憶」

f0033713_224594.jpg監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジュリエット・ビノシュ、アニー・ジラルド

 ようやく書けた、フランス映画祭出品作品。
 ミヒャエル・ハネケ監督作品なので、ものすごく期待していきました。平日にも関わらず、ほぼ満員。「フランス映画」の響きの威力か、それとも「ミヒャエル・ハネケ」の威力か。それでも、映画初心者っぽい人の姿も結構あって、かなり驚きました。
 しかし…いったい、どう解釈すればいい映画なのか(笑)


乱暴に要約したストーリー:
何不自由なく暮らす家族の元に、ある日一本のビデオテープと、まるで子供が描いたような、血を吐く子供の絵が送られてくる。ビデオテープには、彼らの家の風景が映っていた。そんなビデオに不安を覚える夫ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)と妻アン(ジュリエット・ビノシュ)。しかし、警察に届けても、彼らは「事件が起きなければ動けない」と相手にしてくれない。次第にビデオの内容は自宅の映像だけでなく、ジョルジュの実家の映像や、犯人が住むと思われる、見知らぬ住宅の映像へと、どんどんエスカレートしていく。なぜ、誰がこんなビデオを作り、自分達に送りつけてくるのか?不安を募らせる夫婦。ジョルジュの頭に、かつて自分の家で働いていた、アルジェリア人の少年の顔が過ぎる。彼と、ジョルジュの間に何があったのか?ジョルジュはその男の元へと出向くが…。


 観客を置き去りにして、ずんずん突き進む映画ではないので、わりとのんびり見れる映画というか、想像する余裕を与えてくれる映画。しかし、なんだかこれもハネケの策略に乗ってしまっている気がする(笑)
 映画だけでなく、なんでもそうですが、ある程度想像の余地を残しておいてくれる(それが意味不明であったり、難解であったりする映画もこれに含む)場合、観客はあれこれと想像を膨らませ、勝手に理論付けし、自分なりの回答を導き出し、そして勝手に納得する。こうさせてしまえば、それはその観客にとって、「とてもいい映画」なんじゃないかな、と思います。
 彼が批評家に人気があるのも分かる気がします。
 ハネケはカンヌグランプリや各映画祭監督賞は取れても、パルムドールを取るような映画は作らないんだろうなぁ。……ハネケのパルムドール…見たいような、見たくないような(汗)
 ま、そんなことは置いておいて。


 最初のシーンは、何の変哲もない、住宅街の映像から始まります。その映像がじっと動かない。「…なんだこりゃ??」と緊張しだした頃、キャストの名前やらが、どの映像の上にずらずらと並べられていきます。(にしても字がちっちゃい:汗)

 主人公のジョルジュは、ビデオテープに導かれ、かつて自分の家で働き、養子として迎えられたものの、施設へと出されたアルジェリア人の男(…すみません、名前が思い出せない:汗)の古びたアパートへと辿り着きます。彼はジョルジュを懐かしげに迎えますが、ジョルジュのほうは「何故こんなことをする。俺を脅迫しているのか」の一点張り。男は「自分は何もしていない」と言いますが、ジョルジュは聞く耳を持ちません。
 あらん限りの暴言を投げつけた後、彼は帰りますが、その映像も、なぜかビデオに撮られて家に送りつけられているのです。
 妻の夫への不審は最高潮に達し、彼女はこの男と何があったのかを問い詰めますが、夫の口から出てきたのは、「昔、家で働いていたアルジェリア人の少年で、両親が気に入って養子に迎えた。だが、自分は彼が嫌いだったので、彼の行動が自分を怖がらせると両親に嘘をつき(夜中に血を吐く、鶏を殺した、など)、彼を施設に送ってもらった」というのです。
 
 つまりは、彼の(子供じみた、けれど大きな悪意)嘘が、彼の一生を台無しにしたというわけです。しかし、彼はそれを「子供がしたこと」と片付けてしまう。自分が何をやったか、わかろうともしないし、認めようともしない。
 それどころか、自分の疚しさゆえに、嘘をつき続け、過去を暴露した(と思い込んでいる)相手に向かって罵詈雑言を投げかける。勝手な男です。ですが、そのアルジェリア人に向ける猜疑心は、ちょっと異常なくらいです。既に忘れていた過去を思い出させた事に対する拒否感か、恐怖なのかもしれません。この後、彼の息子ピエロが行方不明(結局は次の日、無事に帰ってくるんだけど)になるシーンがあるのですが、ここでも彼はそのアルジェリア人がやったと主張し、警察を呼びます。踏み込んだ警察は、彼とその息子をまるっきり犯人扱い(テレビの人気キャスターと、裕福とはいえないアルジェリア人家族の言い分を、警察がどう秤にかけたかって感じですな…)。人権もへったくれもありません。
 やがて警察は彼らを釈放しますが、ジョルジュによって人生を台無しにされた男は、彼の目の前で、抗議と身の潔白の証明のために、自分の喉を掻っ切る。ジョルジュはまた、彼に対し過ちを犯してしまうわけです。しかしそれでも、ジョルジュは自分の過ちには気がつかないし、その過ちを隠そうとする。
  ですが、結局、事件はすぐに過去のものとなり、家族は元の生活に戻っていく。最後、ジョルジュの夢の中で、あのアルジェリア人の男の子に何をしたのかがぼんやりと見えてくるのですが、ものすごく曖昧で、これがジョルジュが彼について思い出せることの限界なのかな、とも。


 結局、ビデオを送りつけたのが誰なのか、ピエロに何があったのか、…そんな回答部分は、全くありません。息子が突然、母親に対して冷たい態度をとったことからも、母親と別の男が親しげにしている(その前に、彼女が親友の男性に慰められているシーンがあります)を、見たんじゃなかろうか、と思います。これももしかすると、ビデオに撮られて、ピエロはそれを見たのかも。だけど、どこまでも想像の枠を出ないんですよね。

 そして、最後のシーンをどう解釈すべきか。
 「衝撃のラストカット」、とパンフレットなんかに書いてあるのですが…。学校の玄関のシーンがワンカットで延々と流れているだけ。しかしその中で、ピエロと彼の友人か、黒人の少年が一緒にどこかへ行く映像があったような…?でもあまりにさらっとしていて、それがピエロかどうかもよく分からない。ただ、これがどんな意味を持つのか。それとも、全く意味がないのか。どちらにもとれて、見終わった後、頭が疑問でイッパイになり、勝手な回答を探している自分がいます(苦笑)。…あー…この映画を難しくしているのは自分なのかも。「ヴィトゲンシュタイン」じゃありませんが、「澄んだ水を濁らしている」のは観客ですな(苦笑)

 全体として、ビデオテープに録画された映像と、主人公たちの視線が入り混じり、緊張感のある映像になっています。主人公の視線だと思っていたのが、実はビデオの映像だったり、その逆だったり。また突如として、ジョルジュの記憶だと思われる、アルジェリア人の男の子の映像が挟まれたり。見る者と見られる者、私達観客を含め、主人公やビデオや、この映画のカメラワークとしての視線(ハネケの視線)が入り混じって、「これは誰の視線なんだ??」とちょっと混乱させられます。

 すごいな、と思ったのが、エンドロールが終わるまで、観客が全く出て行かなかったこと。(前の席だったので、後ろではもしかしたら出てく人がいたのかもしれないけど)。そして、映画館を出て行くときも、みんな無言(笑)。少なくとも、私の周囲には、感想らしきものを言う人がいなかった。

 日本での公開はGWになるのでしょうか。
 面白い映画です。見た後も、「…いったい、なんだったんだ?」と混乱させられ、長く余韻の残る映画。
 是非見て下さい。


蛇足ですが。
ビデオといっしょに送られてくる絵が、なんだか可愛いです…(汗)。血を吐く少年の絵とか、首を切られた鶏の絵なんだけど。気持ち悪いはずなんだけど。…なんか可愛い(大汗)。
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by azuki-m | 2006-03-27 02:26 | ■映画感想文index

つれづれなるままに。

気がつけば、前に投稿してから中3日。
…うっ…。
とりあえず、何か書いてみよう…。

まずはちょっとした近況報告。
どうも異動が入りそうで、年度末のこの忙しい時期、自分の引継ぎ作業に追われています。
…容赦のない年度末が更に過酷なものに。…勘弁してください(泣)。
異動先は、楽なところがいいです(…)。
冬は自宅に帰るのが2日に1回、とかそんな状況はノーサンキューです。いや、ホントに勘弁して下さい。

そんなこんなで、溜まっているビデオも、映画も見れに行けてません(泣)。
BBMの二度目の鑑賞はおろか、前売りを買っていた映画さえ、このままだとどうなることやら。

「白バラの祈り」
「ラストデイズ」

…せっかく買ったのに!!
あんまりだ!!
「白バラの祈り」は史実に興味があったのでぽちっと買ってみたのですが、「ラスト・デイズ」はガス・ヴァン・サントの「エレファント」が好きだったので、即買いです。
「エレファント」以外では、「マイ・プライベート・アイダホ」しか知らないんですが。
大昔、リヴァー・フェニックスが私のアイドルだった頃、「マイ・プライベート・アイダホ」を見たのですが、当時小学生か中学生だった私にはさっぱり理解できなかった記憶があります(汗)。
内容もあんまり思い出せない…。
ですが、「エレファント」はちょっとした衝撃というか、感動というか…そんな感じだったのです。
すごく楽しみなんだけどな…。
しかし、なんていうか、主演のマイケル・ピット、いかにもガス・ヴァン・サントが好きそうな俳優ですね。

あと、関西の4月は面白そうな作品の公開が多くて。
「メルキアダ・エストラーダの3度目の埋葬」、ものすごく面白そうで期待してるんですが。
それにしても、またカウボーイものです(苦笑)。これで今年3回目…。


蛇足ですが。
最近、これまたぐるんぐるんカウンターが回っています。
多分、BBMのせいだと思うのですが、改めてこの映画の波紋を知った気がします。

さらに蛇足(汗)。
最近、クロアチア関連のニュースが増えてきて、嬉しい限り…。
メジャーは無理でも、マイナー脱皮はできるだろうか。ドキドキ。
(スポーツナビとかで、クロアチアコラムとかぽちぽち増えてきました)
クラニー…あんたホントに体重大丈夫!?ロナウドみたいにならないでよ(ハラハラ)。
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by azuki-m | 2006-03-25 03:38 | ■その他日記

「ブロークバック・マウンテン」

f0033713_23445531.jpg監督:アン・リー
脚本:ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ
出演:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ、ランディ・クエイド

 …とうとう見て参りました。
 おおまかなストーリーについては、皆さん既にご存知の事と思いますので、何もいいませんが…。
 大自然をバックに、淡々と描かれる、二人の20年。さんざん言われているように、この映画は男性同士の愛情が主軸となっています。
 「映画史上、最も心を揺さぶられる愛の物語」とは、ポスターに書かれている言葉ですが。確かに、この上ない愛の物語です。でも、あれは本当に「愛」だったんだろうか?いや、「愛」は「愛」だと思うんですが。20年という長い年月の間で、いろんなモノが混じり合ってしまったような気がします。
 しかし、カウボーイ同士の愛だけではなく、この映画の隠れた主役は、広大な大自然なんでしょうね。
 自然と対比された人間の矮小さが際立って見えます。


 なんだったかなぁ。
 BBM(原作、映画ともに)を見ていて、高校時代に読んだ、高村薫の「マークスの山」の一文を思い出しました。以下、引用すると、

「下界で生きているときには思いもよらない発展、爆発、開花を感じる。」
「殺人こそ犯すことはなかったが、情念の発作という意味ではそれに近い様態は、何度もあった。」
「憎しみ、愛していると感じたのは、雪と山と寒さと恐怖と、世界と加納のすべてだ。」

(加納というのは、主人公の義兄)
以上、高村薫著「マークスの山」(ハードカバー版76版、425頁より)

 「マークスの山」に出てくる山は登山の山なので、BBMの「山」とはかなり違うのですが、なぜかこの一文を思い出しました。生と死の間に常に身を置く登山と、山で羊の番をする彼らとでは、緊張感はやはり違うはずなのですが、「自然が作り出した、外界とは隔絶された空間にいる、たった二人の男」という意味で、この文章を思い出したのかもしれません。
 …なんだか、彼らのことを考えるたび、どうしようもないよなぁ、と思って。
 彼ら二人がゲイかどうかは分かりません。そんなことはもうどうでもいいです(申し訳ない)。しかし、自然が人を動かし、隔絶された空間の中で、下界では有り得ないほどの激しい感情を生じさせる。その結果が、純粋な友情から、その延長線上のような愛や、セックスになってしまったのかもしれない、なんて。
 でも、だからといって、イニスやジャックが、互い以外の誰かといた場合でも、あんな事が起ったのかといわれると、それはないとも思います。なんだかんだ言って、互いに好意を抱いていたのは事実だと思いますし、それがあったからこそ、行為に及んだとも言える。要は、きっかけです。
 そういえば、井上靖の「氷壁」。こちらも登山の話で、BBMの「山」とはかなり違う状況なのですが、「山は人を物語の主人公にさせる」だったか、やはりそんな一文がありました。
 ブロークバック・マウンテンの中で、彼らはヒーローで、世界は彼らのものだったわけです。そんな記憶は、あまり幸せとはいえない彼らの人生の中で唯一確かなものとなり、そして重くのしかかっていく。

 ブロークバック・マウンテンでの出来事は、言ってしまえば、たった数ヶ月の夢物語のような出来事です。ですが、あまりに美しすぎて、彼らはそこに拘り続けてしまう。ブロークバック・マウンテンから4年、彼らは再会しますが、再会までに4年という歳月を置いてしまったのが、また、間違いの元だったのかもしれない。
 最初は純粋にいい思い出だったんだけど、時が経つにつれて、彼らの環境も、彼ら自身もどんどん変化していく。
 ジャックの言うとおり、「素晴らしい生活をすごせるはずだった」のに、イニスは結局その道を選ぶことはできなかった。なんでこんなことになったのか、どこで間違えたんだろうかと思いながら、二人は引き返せない。思い出すのはブロークバック・マウンテンの記憶でしかなく、二人の間にはそのほかには何もない。

「俺は、負け犬なんだ」

 他にもっといい方法はあったはずなのに、それを否定し、代わりに選んだ婚約者との生活も、最後まで通すことができず。離婚の挙句、貧困と慰謝料とジャックへの想いに悩まされる毎日。イニスのこの言葉が、一番きました。

 なんだか辛いのです。とても辛い。
 イニスは、どうしようもないことではあるんだけれど、結局、彼の嘘が自分だけでなく、周囲をも不幸にしてしまっている。かといって、ジャックと共に農場を始めることが、彼にとって一番いいことかと言われると、それも分からない。
 アルマはそんなどっちつかずの夫に振り回され、あろうことか、自分の夫が「釣り仲間だ」という男を愛していることを知ってしまう。夫とその男とのキスシーンを見た瞬間、彼女の世界は崩壊してしまうのです。

 そしてジャックは、そんなイニス相手に、「頑張りすぎる」(ギレンホール氏談より)。
 原作はジャックの家庭への態度や、ラリーンの夫への態度がかなり冷たいものに感じたのですが、映画の方ではジャックはわりにいい父親として描かれています。ラリーンはラリーンなりに夫を愛し、ジャックもジャックなりにラリーンと息子を愛しているのです。それを見ながら、この人、どんな気持ちでイニスに「一緒に牧場をやろう、一緒に暮らそう」って言ってたんだろうと思って。
 ラリーンは勿論、自分の夫に他の誰かがいることを知っていたのでしょうが、アルマのように目撃したわけではないので、知らないフリを通すことができた。
 なんか男女4人のそれぞれの感情が、痛くてたまらんのですよ…。
 私の勝手な想像によるところも大きいと思うのですが、なんか本当に痛くて。

 ジャックを亡くした後、イニスはようやく自分が天国にいた事を知るのですが、全てが遅すぎる。しかし、ジャックが死ぬことを知っていたとしても、イニスが前進することができたかと問われると、それもちょっと分かりませんが。
 彼はジャックの思い出を、クローゼットに入れ、自身のシャツで包み、ブロークバック・マウンテンの写真を飾るしかない。


 『自分で解決できないなら、それは我慢するしかない』
 アニー・プルーの原作に出てくる言葉ですが、この言葉が非常に重みをもって聞こえてきます。


 …なんというか、見た直後よりも、映画館から帰る途中で映画の内容を思い出していた時のほうが、ぐっときました。時間があったら、また見にいきたいと思います。



 どうでもいいですが。(本当にどうでもいい:汗)
 二人のセックスシーンは、わりにぼーっと見ていた私ですが、二回目、ジャックがテントの中で裸でスタンバイしていたシーンは、飲んでいたコーヒーを吹くかと思いました。
 …いや、多分、そんなシーンに入っちゃうんだろうなとは思ったんだけど。
 なんていうか、ジャックって、変な言い方ですが、…私には、ちょっと共感できるタイプの男性というか。いやその、イニスを誘うやり方とかが、その……うまいですね(苦笑)。
 「俺はオカマじゃない」
 と昨夜の出来事を否定したい男には、体を張って誘わないとダメなのだ。しかしそんな、昨夜の過ちを認めたくないイニスだって、ある程度ジャックがそうしてくれるであろうことは、予想してた(期待してた)と思うし。ジャックがあのシーンで待っていてくれなかったら、彼らの二度目はなかったかもしれませんね…。
 …しかし、このときの彼の年齢設定って、19でしたよね(大汗)。恐るべし、ティーンエイジャー。



そして、フランス映画祭の感想文がまだです(大汗)
こ、こちらも早くアップします。
…うわぁぁん!!(泣)
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by azuki-m | 2006-03-21 23:58 | ■映画感想文index

「ブロークバック・マウンテン」とかその他。

 「ブロークバック・マウンテン」、とうとう見てきました…。ドキドキ。
 な、何からいえばいいのでしょう。
 皆さんのレビューを見た後なので、何をいってもつまんなくなりそうです。
 …ちょっと休憩してから、改めて文章をまとめてみます。
 映画館での周囲の反応なんかも含めながら…。
 
 にしても、パンフレット、
 …写真がいっぱいで、やたらめったら豪華です(笑)。
 作った人の意気込みの大きさが分かります(笑)

 そしてどうでもいい話ですが、この映画を見る前に、ジェイク・ギレンホール氏の笑撃画像を見てしまい、映画館で笑い出してしまわないかどうか、ものすごく心配でした。
 …とりあえず、そんな失態を犯すことなく済みまして、心底よかったと思います。
 だってあの画像、破壊力ありすぎ。仕事中に時々笑いがこみ上げる…。フラッシュバックのようだ。ギレンホール氏があんな人だとは思わなかったよ。彼の新しい面を見れてよかったというべきでしょうか。

 
 あああ、しかしこの前にフランス映画祭のレビューかかなきゃ…。
 私が見に行ったのは「隠された記憶」と「カルメン」の二本。
 本当は三本のはずだったのですが、寝過ごして、見に行けなかったんですよう!!(泣)
 なんて勿体ないことを…。


 っていうか、クロアチア×アルゼンチン戦(この間やってた、サッカーの国際親善試合)も見れてません。テレビでやってくれる、数少ないクロアチアの試合。(この間申し上げましたが、私はクロアチアのファンです。…あはは…。いや、日本を応援してないわけじゃないんですよ:汗)
 前半20分くらいまで見ましたが、クロアチアがアルゼンチンに勝てたのは、何かの間違いとしか…。(後半に奇跡が起ったのだろうか)
 そもそも、最後のコーナーキックからのゴールなんて、事故同然です(そこだけニュースで見た)。しかも入れたのが、DFのシミッチさんって。
 …シミッチさんの名前を日本のニュースであれほど連呼されることは、後にも先にもないだろうと思っているのですが、とある新聞で「シムニッチのゴールによりクロアチアが勝利」などというのをみて、一人涙にくれました。
 …いや、シムニッチっていうと別の人になっちゃいますから…。しかもその後のコメントが、「こ、これは本当にあのシミッチさんが言ったのか?」というくらい、超攻撃的なコメントばっかりです。(「クロアチアは絶対日本に勝つよ」、なんて本当にあの人が言ったのかー!!)
 多分、彼のインタの内の一部が抜粋されてるんだろうなと思いつつも、また涙が出そうです。…マイナーは辛いよ…。
 

はっ。
ここは映画感想文ブログです。
お、お間違えのないようにお願い致します。
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by azuki-m | 2006-03-20 00:06 | ■映画こぼれ話

「カノン」

f0033713_411465.jpg監督:ギャスパー・ノエ
脚本:ギャスパー・ノエ
出演:フィリップ・オナン、ブランディーヌ・ルノワール、フランキー・バン


 「カノン」は「カルネ」の続編。
 なんというか、こちらも強烈な映画。
 主人公の元馬肉屋の50男の、どん底の人生と、娘への愛、そして「モラル」について。

 「ターネーション」が他人の人生を覗き見る映画なら、こちらの「カノン」は他人の心をぶちまけられる映画。他人の心をさらけ出されることは、それを見る側にとって、ある種ものすごい苦痛です。しかも、彼は何もかも全てに怒りを感じている。暴力的な言葉がまるで弾丸みたいに突き刺さってきます。「考える肉」である男の声は止まることがない。俳優さんも大変だったと思います。1時間40分通して、喋り続けているようなものです(苦笑)。


 前半から後半にかけてのストーリーを書くと、こんな感じでしょうか。
 場面の設定は「カルネ」から数ヶ月。
 女主人の実家で、ヒモとしての生活を続ける男。しかし、女は馬肉屋に拘り、それ以外の仕事をしようとしない男に対し、日に日に苛立ちを募らせていく。そして男の方も、元から金めあてで女に近づいたのであり、女が金を出してくれないとなると、彼女に用はない。
 そんな苛立ちが募る中、ちょっとした誤解がきっかけで、彼らは罵り合い、やがて男は妊娠している女を殴り、流産させ、銃を持って家から飛び出す。向かった先はパリ。だが、金のない男は安ホテルに泊まるしかない。見覚えのあるホテルに彼は落ち着くが、そこは彼が娘を「作った」場所だった。仕事を探しても、友人を頼っても、誰も彼を助けてはくれない。彼の苛立ちは更に募っていく。周囲全てに怒りを覚え、人生は長い穴倉のようなものだと思う。ホテルで銃を眺めながら、自分を陥れた人間を殺し、そして自殺しようと考える男。だが、そんなとき、彼はふと娘のことを思い出す。自分が死ねば、娘はどうなるのか。娘への愛情を募らせる男。翌日、彼は施設へと赴き、「エッフェル塔を見せてやる」といって、娘を連れ出す。しかし、彼が向かった先は自分のホテルだった…。


 男が娘に触れるのは、映画の中盤くらいからなのですが、その前までは本当にどんどん落ちて行く50歳元馬肉男の物語。女主人と仲たがいし、お腹の中の赤ん坊を蹴り殺すシーンがすごい。パリに来てからも、彼の心の声はどんどんどんどんひどくなっていく。それを聞いている私も、たまったもんじゃありません(苦笑)。しかも銃を手に入れてからは、銃という力(モラル)を手に入れたと感じているので、彼にとって気に食わないことがあると、「バーン!」という、銃の発砲音を真似た彼の声が画面に響き渡る。


 ホテルに娘を連れて行った後、物語りは二つに分かれます。一つは彼の想像の世界、もう一つは現実の世界。しかし、この想像の世界がまた強烈…。
 最初の想像のシーン、男はホテルに娘を連れ込み、彼女と行為に及びますが、その後、「これで思い残すことはない」「父さんも、すぐ後に行ってやる」と、娘を撃ってしまうのです。しかし、急所はそれていたのか、彼女は苦しむだけでなかなか死なない。首からどくどくと流れる血。 
 「苦しがってる」「早く殺してやれ」「死ね」「娘が死ぬはずがない」「奴らが娘を殺した」「…俺はいったい誰と喋っている?」「殺したのは誰だ」「俺は善を殺したのか」「神よ、愛しています」「俺をこの肉の塊から解放してください」
 このあたり、今まで安定していた視界がぐらぐら揺れ、早口の声がとめどなく流れ、そして最後に男も自殺します。
 …しかしこれは勿論、想像の世界。男はすぐに現実へと帰り、「俺は善人だから」そんなことはできないことに気付く。娘を抱きしめ、「愛している」と泣く男。ここでようやく心の声が一時途切れ、パッヘルベルのカノンが映像を満たします。
 「おれがお前を幸せにしてやる」 
 「おまえは俺の娘だ。俺がおまえを女にしてやる」
 娘への愛をはっきりと自覚し、そして行為に及ぶ父娘。最後のシーンはカルネ、カノンでよく見られた暗い車道、橋の下といった暗さのある映像ではなく、ホテルの前の、朝の歩道が映されています。


 さて。この映画、ラストの終わり方がかなり…意外というか、唐突というか(苦笑)。今まで壮絶に毒を吐いていた映画でしたので、娘への愛情がピュアすぎて、ちょっと唖然としたのですよ。娘さんのことも、映画中盤くらいまで触れられることがなかったので(映画の主題が「50歳の、元馬肉屋についての物語」だそうですから、仕方ないかもしれないのですが)、かえって、「カルネ」の方が、娘に対する歪んだ欲望とか、卑しさとかが感じられたのです。「カノン」は、娘に対する愛は非常に純粋なものとなっています。ですからその分、娘の他に対する、男の憎悪の対比が鮮烈になっていはいます。「金持ちから」押し付けられたモラルにうんざりしている男。彼は自分のモラルを貫こうと決意し、それが娘との行為に至る一つの理由になっているのかもしれませんが。「ある種の快感が罪とされるのは、それが金持ちどもによって罪とされたからだ」「失うものはなにもない」「俺は俺のモラルを貫く」
 そして、娘は今回も何を考えているのかよく分かりません。しかし、父親を拒むことなく、どちらかといえば積極的に受け入れている。

 今回は、「馬肉」はあまり出てきませんが、男が夢の中で真っ赤な肉を触っているシーンがあります。それがものすごく卑猥で、ぎょっとしました。
 「馬」も、「カルネ」ではかなりはっきり出てきたんですが、この映画では肉処理場で肉の塊を見るくらいかな。ただ、男の人生が「馬肉」そのものなのかもしれません。

 この映画もそうですが、なんというか、私の下手な感想文より、とりあえずは見て下さいと思う映画。(それをいったらだめー)。
 説明がし辛いです…(汗)。男のあの壮絶な内面は説明することができません。
 とはいっても、見た後はとにかく疲れます。

 そして、この映画の後日談とも言えるものが、「アレックス」でしょうか。この映画の冒頭、肉屋の男が再度登場し、「自分の娘と寝た」ことを、同室の男に話すシーンがあります。


 それにしても、娘さんの名前はシンシアっていうんですね…。続編のカノンでようやく名前が分かりました。どうでもいいですが、以前、某映画紹介サイトで、娘の名前が「カルネ」とされてて、ぶっとびました。…いや、「カルネ」って、「肉食」「馬肉」とか、そういう意味らしいですから…。イタリア語とスペイン語でも「カルネ」って「肉」の意味だっけ…。
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by azuki-m | 2006-03-18 04:59 | ■映画感想文index

フランス映画祭の感想やら、その他。

最近、仕事に追われてます…。
いや、いつものことかしら。
それにしても、年度末って、容赦がない。
老骨には堪えるのよ。

…そんな中で行われたフランス映画祭。
行って参りました!行って参りましたとも!!
本日(昨日か、もう)のお目当てはハネケの「隠された記憶」。
感想文を書くのはまた後日と致しまして、映画祭そのものの感想なんかを。

私が行ったのは高槻の会場なのですが、こんなイベント自体が初めてだし、スタッフの方も初めてのイベントなのか、緊張感(笑)とぎこちなさが見えました。
せっかくのイベントなのに、ちょっと地味かも、と思ったり(苦笑)。
ま、その辺はしょうがないかな。
上演しているのはスクリーン1と2だけで、その他は通常の映画の上演をしてますから。
東京なんかではもう少し派手なパフォーマンスがあったようですが、大阪は初めてだし。もし次にあるとしたら、ゲストさん登場とか、ちょっとしたサプライズが欲しい…(泣)
でも、平日ですし、土日はもうちょっと盛り上がってくれるかも、なんて期待を抱いているのですが、どうだろう。

席のほうは、やっぱり8割くらいは埋まってたかな。
ハネケ作品なので、見る人を選ぶだろうと思っていたのですが、わりと映画初心者っぽい方とかも多くて、ちょっと意外でした。「フランス映画」の響きの威力でしょうか。でも、なんでもいいから、お客さん入ってください。おねがいします(必死)。来年も開催してほしいのよ。(…)

次は土曜日に行ってきます。さすがに明日(今日か、もう)もお休みを取るのはちょっと(泣)。
頑張れ、TOHOシネマ高槻。
せっかくの映画祭、盛り上げてください。



そして、蛇足ながら。
この間、ようやくナルニア物語を見終わったので、いろいろなところでナルニア情報を解禁してみました(今まで、映画を楽しむために情報をシャットアウトしていたのです)。
ティルダ・スウィントンのコメントとかインタヴューとかもようやく見れるようになったのですが、「Flix」4月号で、彼女がデレク・ジャーマン(以下、DJ)について言及しているインタがありました。
この魔女役を引き受けることで、
「これからずっと子供たちに恐れ続けられるぞ」
って、DJに言われているようだった、かぁ。
彼女本人は、自分が今までインディーズ系映画で築いてきたイメージが崩れるのを躊躇していたようですが、DJは多分、彼女の成長を喜んでるよ、きっと。
私もちょと嬉しい。大画面で彼女を見ることができて。
青空とティルダの取り合わせがめちゃめちゃ似合わなくて、泣き笑いしそうになったのはナイショです。
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by azuki-m | 2006-03-17 00:59 | ■映画こぼれ話

「カルネ」

f0033713_265822.jpg監督:ギャスパー・ノエ
脚本:ギャスパー・ノエ
出演:フィリップ・オナン、ブランディーヌ・ルノワール、フランキー・バン


 「アレックス」のギャスパー・ノエの作品。こちらも一部では熱狂的な支持を得ている監督ですね。
 全編を通した赤に、見ていて気分が悪くなってくるような映画です。ですが、何か惹きつけるものがあるというか。ショッキングなんだけど、目が離せず、結局最後まで見てしまうというか。いろんな意味で、長く心に残る映画ではあります。
 

 端的に言えば、この映画は口のきけない娘を愛した、父親の物語です。
 しかし、その中に様々なショックが詰まっているのですが。 

 冒頭、娘を産んだ女が妊娠の最中、ひたすら馬肉を食べる場面があります(フランスの馬肉消費量は欧州でもトップクラス。また、安価なため、低所得の家庭でよく食べられるのだとか)。女の顔は見えず、その口元(胸元か)が映されるだけ。しかし、このシーンがまた、なんというか、…ある意味ホラーです(汗)。真っ赤な馬肉。それをむしゃむしゃと食べる女。
 ……「食べる」という行為は、ある意味ものすごくエロティックで、そしてグロテスクな行為ですよね。生きることそのものの行為であり、貪欲さを表す行為でもあるという。

 …まぁ、それはともかく、馬肉ばかり食べていた女の腹から口のきけない娘が生まれ、その後、女は娘を残して出て行ってしまう。
 しかし男は馬肉屋の仕事を続け、娘に馬肉を食べさせ、そして黙々と彼女の体を洗う。
 十数年同じ日常が繰り返され、やがて娘の体は「女」になってゆく。

「母親に似てきた」
 次第に美しく、女らしくなっていく娘。彼女の体を洗いながら、男はそう思う。
 娘が何を考えているのかは、さっぱり分かりません。表情が動かないし。目も、なんていうか…意思のない目というか、本当に生きているのか分からない目というか。彼女の顔のアップがほとんどないので、細かい所が分からない。彼女は当たり前のように、父親に食事の準備をしてもらい、体を洗ってもらう。

 そしてある日、外から帰ってきた娘がスカートに血をつけて帰ってくる。初潮が来たのです。これで、彼女は「女」になるための準備を終えたと言えます。しかし、哀しいかな、男親の父親はその事が分からない。娘がレイプされたのだと思い込み、その前の場面で彼女に声をかけたアラブ人の男にナイフを突き立てる。ここでもまた、血の赤です。

 当然のこととして、男は逮捕・刑務所へ。娘は施設へと送られるが、別れの場面で父が娘を抱きしめても、彼女は何の反応もしない。刑務所の中の長い時間、男はただ娘を思い続け、心の中で、娘への愛情と、欲望とを育ててゆく。

 外に出た後、男は自分の店があのアラブ人の男のものとなっていることを知る。行くあてがなく、馴染みのカフェの女主人の元へ。成り行き上、彼は女主人とベッドを共にし、男は彼女のヒモとなる。やがて女もまた、妊娠する。しかし、男は女主人の生む子供の父親になどなりたくない。彼の「娘」はあの、口のきけない娘だけなのです。

 女主人をレイプした後、男は娘に会いにいこうと思う。真っ暗な車道が映ったのち、場面はここで途切れ、続編の「カノン」へと続く展開になっています。 


 大分前に見た映画なので、細部はかなりあやふやです。…あやふやなのですが。
 馬肉の赤、血の赤。初潮のどす黒い血も(あんなところにつくんだろうか、というツッコミはさておき)妙にリアルです。全編通して赤一色といった感じで、見ていて気分が悪くなるほどなのですが、そのために、あの強烈さはかなり頭に残っています。(それにしても、ノエは赤が好きですね…。「アレックス」も、見ていて悪酔いするような映画でしたが。)
 また、音楽が確か、ほとんどなかったように思います。そして、突然、「バン」という効果音とともに場面が切り替わる。物語は男の内面の声だけで語られ、男が直接誰かに話しかけるシーンはほとんどない。男はいつも誰かに話しかけられる役割です。ですが無言のまま、男は彼らを瞬きもせず見つめている。

 「馬」は知性や権威や死などのほかに、性欲だの、動物的欲望だのも象徴しているようです。娘が馬の乗り物(街の片隅になぜかひっそりと。メリーゴーランドでよく見るような、あんな馬です。上の写真にちらっと写っているのがそれです)に乗るシーンがあるのですが、彼女はそこで初潮を迎えるのですよね…(汗)。ある意味、父親の想像は間違ってはいないと言えるのかも。

 なんだかこう、この話は、私の下手な感想文などより、見ていただくのが一番という気がします。(それを言ったらおしまいだー)
 二度と見たくない、というより、二度も見たくないと思うのですが、私はなぜかこの映画が好きです。40分ほどの、非常に短い映画なのですが、記憶に長く残る映画。グロテスクなせいもあるとは思いますが、あの強烈さはちょっと忘れにくいし、「グロテスク」とだけでは片付けられない。
 非常に強烈で、「感受性を傷つける」映画。体の具合がいいときに見る事をおすすめします。身構えながら見てください。



 さて、次は続編の「カノン」の感想文なんかを…(笑)
 これも強烈。ギャスパー・ノエの作品って、リンチ作品みたいに説明しづらい…。
 この方々の作品は、理解するとかどうとかより、その世界に入っていけるかが最大の問題ですよね…。
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by azuki-m | 2006-03-14 02:19 | ■映画感想文index

「焼け石に水」

f0033713_3331748.jpg監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
出演:ベルナール・ジロドー、マリック・ジティ、リュディヴィーヌ・サニエ、アンナ・トムソン


 フランソワ・オゾンの作品。
 数ある作品の中で、どれがいいかなー、どれがいいかなー、と悩みはしたのですが、とりあえずこちらをチョイス。
 オゾンの作品は、「8人の女たち」くらいしか知らなかったのですが、オゾンファンの友人から送られた「オゾン映画集ビデオ」を見せられまして。そのついでに、その他のオゾンの映画も見た時期があったのですが、この映画もそんな時に見たんじゃなかったかな。オゾン強化月間…。けっこうしんどかったです(汗)。


 映画は、中年男レオポルド(ベルナール・ジロドー)が、若いフランツ(マリック・ジティ)を家に招いたことから始まります。最初、二人の会話はぎこちなく、そのもどかしさに可愛らしさすら感じるのですが、その後のベッドシーンの後、二人の関係は全く違うものとなっています。
 次の場面で、二人は既に同居をしているようなのですが、レオポルドを喜ばそうとしてか、仕事から帰った彼をやたらに可愛らしい格好で迎えるフランツ(半ズボン…)。しかし、レオポルドの関心は既にフランツから離れています。そんな状況に苦しむフランツ。しかしそんなとき、フランツの恋人であるアナ(リュディヴィーヌ・サニエ)が彼の元を訪れます。彼女とのセックスの後、フランツはレオポルドと別れ、彼女の元に戻ろうと思いますが、そのアナ自身が、レオポルドに陥落してしまう。やがて、レオポルドの昔の恋人・ヴェラ(「彼が喜ぶと思って」、男から女に性転換を行った)(アンナ・トムソン)も現れ、レオポルドとの関係を修復するのです。4人が揃ったところで突然、ダンスシーン(写真の絵です)。しかしこのダンス、フランツだけが妙にテンポがずれています。女二人をベッドに誘い、一人取り残されるフランツ。感じていた孤独は最高潮に達し、やがてフランツは自殺という手段を選ぶのですが、居間に転がった彼の死体を見ても、レオポルドは泣くことも嘆くこともしません。彼はただ、動揺するヴェラに、寝室に戻るよう言うだけです。

「より多く愛する者は、常に敗者になる」。

 映画のキャッチコピーなのですが、この言葉の通り、愛しすぎたフランツが敗者であり、誰も愛さなかったレオポルドは、常に勝者なのでしょう。


 さて。
 エドワードⅡに引き続き、こちらも戯曲の映画化。(ドイツの映画監督、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが19歳の時に作った、未発表の戯曲が基なのだそうです。)
 ですので、映画の構成も、同じく舞台チックです。ストーリーは4幕構成で、起承転結が非常に分かりやすい。また、設定も「家の中」ということで、彼らが外に出ることがありません。だからそのぶん、閉じられた空間の中で起きる室内劇というか(この辺、「8人の女たち」と一緒ですね)、閉鎖性が非常に強くなっています。ですが、「8人の女たち」が外的な要因により閉鎖されたのに対し(内部の人間の仕業もあるけど)、こちらの「焼け石に水」は自分たちが進んで閉鎖された空間(箱)を作り上げているんですよね。
 しかし、「焼け石に水」の箱には、外からの入り口は開かれています。ただ、中から外へ出られないということだけ。こういうのって、恋愛やセックスに似てるんでしょうね。一度入りこんだら、それから逃れることは難しい。悪魔のようなオトコから逃れられない女たち、男たち。

 最後、ヴェラが窓を開けようとして頑張るのですが、どうしても開けれず、項垂れるシーンがあります。逃げることのできない小鳥(まぁ、正直、ヴェラを小鳥と呼ぶには抵抗がありますが:汗)、といったシーンでしょうか。しかし、ここになって、ようやく家の外から中を見る(窓の前でもがくヴェラを撮っている)映像になるのですが、カメラの視点はそんなヴェラからゆっくりと離れていき、やがて彼女は小さくなっていきます。それは観客であり、外から見る者である私達の視線になるのだろうけど、どこか無関心で冷たい視線です。彼女たちのこの先の未来は、絶望的ともいえます。


 フランツやヴェラの気持ちは、レオポルドには全く通用しない。非常に悲惨な話なんだけれど、妙にコミカルでお洒落。ところどころに挿入される音楽や、彼らの行動が、笑いを呼び起こすからかもしれません。
 深刻な題材を、そのままストレートな悲劇にしてしまうのではなく、お洒落な皮肉を被せてしまうところが、オゾンらしいとうか、フランス映画らしいというか(苦笑)。レオポルドの笑い声が聞こえてきそうな気がします。フランツの死は、彼にとって大した意味を持ちそうにありません。



 蛇足ですが。
 オゾン作品によく出てくる、リュディヴィーヌ・サニエちゃん。彼が作る世界に、彼女は必要不可欠です。
 しかし、オゾンの描く「若い女性(或いは少女)」が、私にはどうしても理解不能というか(苦笑)。
 彼の映画で出てくる若い女性は、たいてい、「誘惑者、或いは場の調和を乱す者」というような役割を与えられているような気がします。(尤も、その誘惑者を通して、主人公が成長していく過程が描かれているのですが。)勿論、これは、オゾンに限らず、どの映画にも見られることなんですが。ですが、その…オゾンの描く、彼女たちのあまりのエネルギー、奔放さ、そして無分別さは、聖書の中のイヴを思い出すというか。「次の行動が読めない(汗)」ということもあるのですが、彼女たちが何を考えているのか、全く分からないことが多いのです(他の映画でも、若い人達のエネルギー、奔放さ、そして無分別さを描いたものはたくさんあるのに)。私がオゾンの作品を苦手だと思うのも、この辺に理由があるのかな、とも思います。
 とはいっても、私は彼の最新作を見ておりませんので、あんまりエラソウな事はいえませんが(汗)。「ふたりの5つの分かれ路」のレビューなんかを見ると、上の傾向は、既に過去のものとなっているようですしね。


それにしても、ようやくオゾンの作品をアップできました。
次はなんにしようかな…。
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by azuki-m | 2006-03-11 03:33 | ■映画感想文index

関西にてフランス映画祭!!

 ちょっとしたお知らせです。
 既に皆さん、ご存知のことと思いますが。
 あまりに嬉しかったので、改めてご連絡をば(汗)
 すう、はぁ。(大きく息を吸う)


 関西(+東京:笑)にて、3/15(水)~3/19(日)、フランス映画祭2006が開催されます!!
 しかも、場所はTOHOシネマズ高槻。

 …!!
 と、TOHOシネマズ高槻とな!!
 私の家からものすごく近いじゃないですか!っていうか、むしろ地元みたいなもんじゃないですか!

 もしかすると、街興しに役立つかもしれません。(いや、そんな事は:汗)
 集え高槻市民!!
 来年も開いて欲しいので、観客のみなさん、来て下さい。いや、本当にお願いします。
 ものすごく私情が入ったお願いですが。


 それにしても、初映画祭体験が、こんなに簡単なものでいいんだろうか。ちょっと出来すぎな感に、妙な不安が過ぎります。ドキドキドキドキ。
 …って思って、職場のスケジュール張を見てたら、「やっぱり」と肩を落としました。
 よく考えれば、15日~19日って、一ヶ月のうちで一番忙しい時期じゃないの…。
 しかも、一番みたい映画は平日にあります。
 これは、昼からお休みをとるために、前日は徹夜で働けということか!
 1、2年前までならできましたが、今はちょっと…(泣)。まぁいいや、頑張ろう…。


 気になる映画のラインナップは下記ページにて。
 「隠された記憶」「戦場のアリア」「パレ・ロワイヤル」「パッセンジャー」等、計24本(うち短編集含む)上映です。

         ↓
http://www.unifrance.jp/festival/index.php
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by azuki-m | 2006-03-08 23:23 | ■映画こぼれ話


「私は、断固たる楽天主義者なのです」
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