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フィギュアスケートエキシビションとか。

 …終わりました…。トリノオリンピックフィギュアスケートが…。
 「本物の王者にのみ許される贅沢」。五十嵐さん、すばらしい名言をありがとうございます。
 このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、五輪ということで一つよろしくお願いします(ちょっと開き直り。だって、今日もこの話題は多いはず…多分:汗)。


 メダリストたちは言うに及ばず、選手たちみんながとてものびのび滑ってくれたエキシビション。
 女子シングルの選手たちは、前日試合が終わってすぐの出演だったので、正直ものすごくハードなスケジュールだったと思うのですが、皆さんどうもありがとうございます。
  
 それにしても…びっくりな演出でしたね。
 まさか、エキシビションで演奏を担当してくれるバイオリニストを呼ぶとは。
 さすがイタリアというべきか、さすがロシアフィギュアスケート協会というべきか。
 トトマリ組(…)の優雅な滑りに合わせて、エドウィン・マートンの迫力満点な生演奏。
 あああ…素晴らしい…。
 そして、オオトリに現れたプルシェンコの演技。 
 最初の立ち位置からして、決まってましたよね…。バイオリニストの隣で滑るプルシェンコ。(カメラさん、グッジョブ!)そしてその演技も、「あんたそれをエキシでするの?(汗)」というくらい、気合の入ったプログラム。というより、ショートプログラムじゃないの、それ(汗)。
 すさまじいステップ、ジャンプ、上半身の動き。それにからむ、氷上に響く硬く透明なバイオリンの音。
 もう、もう、なんと言ったらいいのか…。
 最後の、ぴたりと合わせたラスト。プルシェンコはエドウィン・マートンに、エドウィン・マートンはプルシェンコに賛辞を送ります。舞台に揃った、二人の天才。
 …「臨場感があって、立体感のある」(実況の方と五十嵐さん:以後、カッコ書きの文章は全て)、まさしく最高の演出。まるでバレエの舞台のようでした。プルシェンコの、あのわけのわからない、でも難しいことだけはわかる、息苦しさ満点の演技も、こういう演出をされるとピタリと嵌ります。
 「本物の王者にのみ許される贅沢」。
 まさしく、「その音を表現できる人にしか許されない」演出でした。

 以前にもエドウィン・マートンをエキシに呼んだことはありましたが、オリンピックのエキシビ、しかも戴冠のお披露目公演でこれをやってくれるとは…。いや、実況の方も、五十嵐さんも、二人で「すごいですねぇ…」とかハモってるくらいなんですが、それくらいすごかった。
 その後のアンコールも圧巻。「二回のトリプルジャンプしか入れてなくて、その後は滑ってるだけ」なんですが、それでもその醸し出す雰囲気がまたすごい。しかも選んだ曲が、パバロッティが歌ってる曲って…。
 
 演技が終わった後も、プルシェンコは本当に嬉しそうでした。
 もともと人を楽しませるのが大好きな、ひょうきんな方なので。昔の、16歳くらいのNHK杯でのエキシを思い出しました。…金メダル、本当におめでとう。本番競技の後は、結局ヘラヘラ笑ってしまいましたが(汗)、このエキシの後はちょっと涙が出ました。
 
 それにしても、この後の彼の去就が気になります。この後も現役を続けてほしいんだけど…。
 ヤグディンがいなくなって、後に残ったのは彼一人。
 このままプルシェンコもいなくなってしまうと、男子フィギュア界はやはりさみしくなります。いや、素晴らしい選手は本当にたくさんいるのですが、やはりプルシェンコとヤグディンは別格でした。私の中では、ヤグディンが『王者』なら、プルシェンコは『皇帝』かな。
 4年前のソルトレークのヤグディンを見返すにつけ、「さっさと引退しやがって…」と、恨みとも泣き言ともつかぬ繰言が出ます(苦笑)。(怪我でしたし、しょうがないんですけどー!:泣)
 彼ら二人は全くタイプが違う選手なので、比べること事態が無意味ともいえるのですが、でも、今現在のプルシェンコと、あの時のヤグディンが一緒にリンクに立ったとしたら、いったいどちらが勝つんだろう、彼らはどんな競争をしてくれるんだろうと思います。
(しかし4年前のロシア男子は、どの選手も本当にすごかった。二人の天才だけでなく、アプトにクリムキン。…今の日本女子みたいな状況ですね…)
  
 だから…なんていうか、本当に、まだまだ頑張ってほしいのです。モチベーションを保つのはすごく大変だと思うのですが、彼までいなくなってしまうと…。
 …勝手なことは言ってますが、一ファンの戯言ですので、どうぞお許しを…。  

 その他、雑感をば。
 ライザチェック。
 ショートの結果は残念ですが、フリーでは、あれだけの力があることを見せ付けてくれました。長い手足をいかした、ダイナミックな滑り。地味ながらも、しっかりポイントを積み重ねる選手。本番でもエキシでも、お客さんをわかせることに成功。それが本当に嬉しい。
 それにしても…あはは、なんだか見てるのが恥ずかしくなるくらい、爽やかな笑顔ですね。
 
 ランビエール。
 素敵な曲ですよね。スピンもジャンプも、相変わらずダイナミック。…この人も地味ながら、魅せるところはしっかり魅せてくれます。彼の演技はものすごい努力の跡が見えて、いつも応援してしまいます。
 
 ウィアちゃん。
 つくづく、雰囲気のある選手ですよね。しかも、美しい滑り。…必殺技はないんだけど、見ていて飽きない、男性版村主選手のような方。
 それにしても…五十嵐さん、彼は「上品な衣装」を用意してくれる選手なのですか。…じゃぁ、上品でない衣装って、誰のことを指してるんです?(笑)
 …いっぱいいそうだ…。フィギュア男子って、キテレツな衣装の人って多いから…。


 さて。
 …次は世界フィギュアですかね。
 そしてその次はドイツW杯…。
 ちなみに、私が応援する国はクロアチアドイツ、ちょぴっとイタリア。です。
 …クロアチアなんて、日本と戦うんですがね。
 しかし、あんまり強くないので、ヒディングマジックのあるオーストラリアよりは、日本が勝つ可能性が高いのではないかと、私は踏んでいます(泣)。
 日本と当たるから、たくさん情報を流してくれるかと思ったのですが、全然見ない…。
 ……いや、このブログは映画感想文ブログです。
 本当に。誤解なきよう、お願い致します(汗)。

 
 蛇足ですが。
 …プルシェンコのエキシが、「トスカ」でよかったと本気で思う今日この頃…。
 以前のあの評価分かれるエキシ(肉襦袢…肉の着ぐるみを着て、「セクシー!セクシー!」な音楽に合わせて踊る…)をされたらどうしようかと、本気で心配してました。オリンピックのエキシでそんなことはしないだろうと思いつつも、プルシェンコってば、結構芸人なところがあるから…。(だから私は彼を好きなんだろうか。)
 …いやぁ、別の意味でも安心しました。涙出たよ。



※最近、この地味なブログにはありえないくらい、ぐるんぐるんカウンターが回ってます。
  ホントに、私が回してるんじゃないですよね??(汗)。
  本来の映画感想文がおろそかになっていますが、頑張って更新します。
  ご来訪、本当にありがとうございます。更新の励みです。
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by azuki-m | 2006-02-25 23:40 | ■トリノの思い出

女子フィギュアスケートとか。(その2)

 …まさかこんな日が来るとは…。
 日本人がオリンピックフィギュアスケートで頂点に立つ日が来るなんて、思いもしなかった。
 このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、五輪ということで一つよろしくお願いします(ちょっと開き直り。だって今日はこの話題でいっぱいのはず…:汗)。


 …やりました、荒川選手。
 まさかこんな日が来るなんて、思いもしなかった。
 金です…。
 いや、演技に関しては、もうニュース等でさんざん言われているので、今更何も言いませんが…すごかった。

 しかしこの大一番にですねぇ、私は寝坊をするという大失敗をやらかし(私のバカバカバカ)、スルツカヤ選手しか見れなかったのですよ!(泣)
 その時には荒川選手の「あ」の字も出なかったので、正直、「あれ?」と思ったのですが、終わった瞬間、「荒川選手、金です!」とか言うもんだから、腰が抜けるかと思うほど驚きました。
 そりゃ、彼女の実力なら当然ですが。でも、日本人が金だなんて、ちょっと信じられなくてですね…。2年前も世界選手権も驚いたけど、今回ほどじゃなかったかも。いやぁ…すごい。
 

 そして、その他いろいろ思ったこと。(録画したビデオを後で見て) 
 村主選手。
 精一杯、頑張ってくれたと思います。
 シーズン序盤の怪我のせいで、スタミナも充分になく、動きもどこか鈍くて、でも精一杯やってくれました。彼女には所謂「必殺技」がないので、高得点を出すことは非常に難しかったと思うのですが、それでも素晴らしい演技でした。「情熱はここにある」。彼女の演技を見て、心底そう思います。

 安藤選手。
 正直、4回転に本人も周囲も拘りすぎかな、と思ってはいたのですが。
 しかし、彼女はそれを飛ぶことで、何かを吹っ切ったような感がします。なんか、成長しましたね。試合の前と後で、彼女の言動が着実に成長しているようで、今後が楽しみです。浅田真央選手と、「二人の日本人」と呼ばれるような時代が来て欲しいものです。

 コーエン選手。
 …手痛い転倒でした。でも、あそこで崩れなかったのがすごいと思います。終わった瞬間、私もちょっと辛かった。…選手の辛そうな顔は、見たくないなぁ…。
 
 
 そして、スルツカヤ選手。
 正直、私はこの選手を美人だと思ったことはないのですが、あの時の彼女は、本当に美しく見えました。私にとっては、荒川選手は言うまでもないですが、あの時の彼女も非常に印象的です。演技を始める前の張り詰めた表情、演技の最中、そして終わった瞬間。本当に美しかった。
 なぜでしょうか。
 かなり緊張していて、動きもがちがち。彼女本来の動きとは程遠かったのですが。
 …本当に、不思議です。なんでそんなことを思ったのか、私自身もよく分かりません。
 見ていて、ちょっと泣きそうになりました。
 彼女のオリンピックはどうだったんでしょう。



 さて。試合が終わって、ついについに、エキシビションです!
 これが一番楽しみ。
 バトル君!プルシェンコ!!(←いや、彼らだけじゃないって:汗)
 鼻息も荒く、今夜も正座で鑑賞です。



 蛇足ですが。
 うわぁぁぁ、エキシ直前に、なんで日本のテレビにプルシェンコが!?
 しかも生!!
 たまたま早く仕事から帰って(うそです。エキシのためです。…すみません…:泣)テレビをつけたところ、プルシェンコが生出演でトークを…。
 途中からしか見れなかったのですが、正直、これが一番興奮したかも(ゴメンナサイゴメンナサイ)。テレビを見ている時の私は、立ったり座ったり手を合わせたり、正直挙動不審でした。日本のファンのために、わざわざどうもありがとう。早く日本にきてね。
 しかし、あれ、対談になってませんでしたね(汗)。


 さらに蛇足ですが。
 プルシェンコが「氷上の王子様」とか「貴公子」とか言われると、ちょっと違和感を覚えてしまう私。
 …いや、その。
 ファンの私から見てもですね、彼ってその、あんまりカッコイイ部類に入るわけではなく、どちらかというと、そのう…(汗)。
 いやまぁ、確かに、オーラはあります。試合中の彼は王者の風格がぷんぷん漂って、その辺は確かにカッコイイとはいえるかも。
 しかし、彼が「貴公子」…?「奇行士」の間違いじゃないかとか、素で思ってしまうわけでして。
 いや、その。

 …まぁ、どうでもいいですね。あははははは。
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by azuki-m | 2006-02-24 23:46 | ■トリノの思い出

「ある子供」

f0033713_2103266.jpg監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、オリヴィエ・グルメ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ

 「息子のまなざし」をアップしようかと思ったのですが、関西では現在公開中でもありますので、こちらを先にアップ。
 よく言われることですが、まるでドキュメンタリーのような映像。(ダルデンヌ兄弟は元々ドキュメンタリー映画出身ですしね)
 「人は変われるのか、そして大人になれるのか」
 ダルデンヌ兄弟が、ブリュノを通して観客にする問いかけです。 


乱暴に要約したストーリー:
ブリュノ(ジェレミー・レニエ)20歳、ソニア(デボラ・フランソワ)18歳。ある日、二人の間に子供ができる。母親として目覚めるソニアに対し、ブリュノの自覚は今ひとつ。それどころか、自分自身がまだまだ子供のままだった。ソニアはブリュノに真面目に働くように言い、失業手当を貰いにいく。しかしブリュノはその人数のあまりの多さに辟易し、ソニアを列に残し、赤ん坊を連れて散歩に出かける。しかしその途中、彼は以前聞いた子供の売買に関する話を思い出し、自分の子供を売ってしまうが。


 ブリュノの行動は、本当に子供です。
 ソニアとのシーンは、ほとんど子犬がじゃれているような感じですし、靴を泥で汚し、白い壁を蹴りつけてその跡を残したり、その場しのぎの嘘で警察をごまかそうとしたり、引ったくりなどで得た少ないお金を、非常にアンバランスな額で使ってしまう。けれど、彼は自分の下で働く子供たちの上前をはねることなく、約束のお金を支払うという、子供ゆえの素直さを持ってもいます。
そんなブリュノですから、ソニアが子供のジミーを連れてきたときは、自分の子供という実感がありません。むしろ、ブリュノ自身が子供であるため、ジミーは恋人ソニアの関心を奪ってしまう、厄介な存在に思えたのかもしれません。

 子供を売るとき、彼は初めて子供を抱き上げ、かすかに躊躇いを覚えますが、売ってしまった後は得た金額の大きさに有頂天で、他の事は見えていません。血相を変えて問い詰めるソニアに、「子供なんてまたできるさ」と言ってしまうブリュノ。ソニアはショックで倒れ、病院に運ばれますが、彼女が警察に全てを話してしまうことを恐れて、ブリュノは子供を取り返そうとします。私は子供を取り返した後、バスの中で子供を抱きしめて座る彼の横顔が、とても印象的でした。
 しかし、子供を取り返しても、ソニアの怒りが収まるはずはありません。退院したソニアを迎えにいっても、彼女はブリュノを拒絶し、アパートから彼を追い出します。

 このときは彼はただ驚くだけでしたが、時間が経つにつれ、その孤独はゆっくりと深くなっていきます。ソニアの元を訪れ、「別れないで」「愛してる」と彼女の足にすがり付くものの、彼女はやはりそんな彼を振り払い、拒絶を貫き通します。こうした過程を経て、ブリュノは「痛み」を知り、そして自分のしたことの重大さに気付いてゆくのです。
 それでも、彼は生きていかなければならず、そのために金を稼がなければならない。ブリュノは、仲間で年下の少年の一人を誘って引ったくりを行いますが、結果は少年だけが警察に捕まってすしまいます。「必ず戻る」。少年だけを残し、隠した金を取りに行く時、そう約束したからか。ともかく、彼はそのまま警察に赴き、自分が主犯であることを告げるのです。

『人は変われるのか、そして大人になれるのか』

 ブリュノの変化は、ゆっくりですが、確実に読み取れます。その変化をしっかりした脚本と演出で見せるダルデンヌ監督の技術は本当に見事。ドキュメンタリーのような自然なタッチでありながら、その演出には無駄がなく、観客の目を意識して作り込まれた映像です。役者たちも、「どこにでもいそうな普通の人々」で、演技をしているとは感じさせない、ものすごく自然体な表情を引き出されています。
 更に、画面上から音楽を一切排し、リアルさを追求しています。感情の高まりは役者の演技と、揺れ動くカメラから察するほかないのですが、それも極力抑えようとしています。しかし、最後の場面では、そんな張り詰めていた感情が、一気に開放されるのです。

 刑に服しているのであろう、ブリュノの元に訪れるソニア。
 沈黙の後、泣き出すブリュノ。ソニアの手を握り、額をあわせながら、二人はただ泣き続ける。

 息を詰めるように見ていたのですが、このシーンで私は大きく息をつきました。最後に提示された希望。ダルデンヌ兄弟は、登場人物を厳しい眼差しで見つめながらも、彼らを放り出すことはしていません。彼らが主人公を10代、20代という設定にしたのは、「まだ人生が決まっていない年齢だから」ということだそうですが、その為に、このラストがあるのでしょう。

 ダルデンヌ兄弟が、この映画によって、カンヌパルムドール2度目の受賞という快挙を成し遂げたのも頷けます。
 ぜひ見て下さい。



 蛇足ですが。
 最後のエンドロールをぼーっと見ていた時に、ジミー役にクレジットされていた子供の数を見て、目を剥きました。いち、にい、さん…。えぇ!?10人以上、いないか??(汗)
 赤ん坊役って、通常、どのくらいの人数で演じるものなんでしょうか。
 今まであんまり意識してなかったけど…(汗)

☆2005年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
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by azuki-m | 2006-02-23 02:13 | ■映画感想文index

女子フィギュアスケートとか。

あと数時間で女子フィギュアスケートの開始ですね。
男子と違い(苦笑)、誰が勝ってもいいから、素晴らしい演技を見せていただきたいと思う、この種目。
このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、(以下略)。
………。
……………。
…………………。

うわあぁぁぁん!!(泣)


 さて、女子シングル。
 日本の選手3人とも素敵な曲を持ってきましたので、見ていてとても楽しい。
 特に安藤選手の「戦場のメリークリスマス」(これも感想文アップせんと…:汗)はかなりお気に入りです。
 4回転は成功したらいいなとはおもうのですが…。
 うーん。
 …正直な話、マスコミの方は、「必殺技」が好きですね。確かに記事にしやすいとは思います。
 ですが、それだけに終始してもらいたくはないというか…。
 彼女の魅力は、それだけではないと思いますが。


 ま、そんなことは置いておいて。
 村主選手。
 曲を変更することはせず、ひたすら完成度を高めることを意識されたそうですが、曲を変更しないで下さってありがとうございます(笑)。←変な日本語ですね。
 両方ともとっても好きなんですよー。
 特にフリーのラフマニノフ。(男子の高橋選手が使用していたのと同じものです)
 彼女の魅力は、何度も言われているところではありますが、スケートの美しさ、スピン、そして表現力。
 正直なところ、昔はあまり好きな選手ではなかったのですが、年を経るごとに何故か気になる選手の一人に。
 なんでそんなことになったのか、自分でもよく分かりませんが、今の彼女は本当に好きです。


 荒川選手。
 数年前、いきなりタラソワコーチの元に行かれた時は本当に驚きました。
 金メダリスト養成コーチの力もあったのか、彼女は見事に開花して世界女王に。
 でも、その後、オリンピック前にタラソワから離れてしまった時も再度驚きました。
 本当に、勇気のある決断だったと思います。
 今回はフリーを2年前のものに戻し、ショートも多少変更したとのこと。これもまたすごいことですが、ちょっと不安な気分は拭えず(汗)。(そんな私の不安を打ち砕いちゃって下さい、荒川選手!)
 村主選手と同じく、非常に美しい、綺麗な滑りをされる方です。氷に張り付いたような、というか…。
 全てにおいてバランスのとれた選手。メダル云々より、見るのがとても楽しみです。


 そして、ちょっと気になるコーエン選手。
 この方もかなり好きなので、ちょと応援(汗)。
 小さな体で、非常にダイナミックな演技をされる方です。はじめは体操選手だったかな?
 そのおかげで、動きがバレエというよりは新体操チック。
 数年前の、彼女のフリーのラフマニノフがものすごく好きで、あの演技のイメージが張り付いてとれません(汗)。
 なので、彼女にも頑張ってもらいたいのです。…またまた勝手なお願いですが(汗)


…ともかく、どの選手も、怪我のないように。
そして、悔いのないことを祈ります。
4年に一度の祭典です。
皆さんが笑顔で演技を終えられますように…。



 そして私が3時に起きれますように…。(泣)
 最近、寝不足と肩こりが限界に達したのか、目がかすむ、頭痛がする、めまいがする、などかなりヤバメな症状がでます。
 …遠いトリノの選手を心配するより、まず自分の身を心配しろということでしょうか。


 ……うわぁぁぁぁん!!(逃)
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by azuki-m | 2006-02-21 23:58 | ■トリノの思い出

「ピアニスト」

f0033713_21172599.jpg監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド

 一言で言えば、傑作。
 今のところ、私の中ではベスト20には入るであろう作品。



乱暴に要約したストーリー:
エリカ(イザベル・ユペール)はウィーンの音楽大学院教授。父親は入院中で、母親と二人暮らし。母親は彼女にピアノ以外の全てを禁止したが、彼女は自分が一流の音楽家でないことを知っている。性への歪んだ妄想を膨らませるエリカだったが、彼女の前に若く美しいワルター(ブノワ・マジメル)が現れる。彼はエリカが勤める音楽学校の学生となり、彼女への想いを吐露するが…。


 最初の鑑賞時は、ワルターの気持ちも多少分かるような気がしたのですが(「私を殴って、縛ってください」なんていわれたら、誰だって引くよね、とか)、2回目はもう完全にエリカ視点(苦笑)。痛くて痛くて。
 彼女は、(父親を含めた)男性に愛されたことがない(性的な面だけでなく、精神的な面でも)。どちらかといえば、彼女は父親不在の家庭で、母親から「父親」役と「子供」役の二つを求められ(エリカは母親のエスコート役をしたり、彼女の寝室で一緒に寝たり、また生活費は全てエリカが稼いだもの。かと思えば、母親は彼女の鞄の中身をチェックし、上着を着せ掛ける)、彼女自身、自分の本来の場所を模索していたように思います(夜のシーン)。
 
 だから、エリカはいきなり飛び込んできたワルターを最初は拒否し、そして受け入れていく。
 「私を殴って、縛って」と自分に対するSMプレイを詳細に描いた手紙は、それまで異性との交渉を母親に絶たれていたための、セックスへの歪んだ妄想の産物でしかない。確かに、性や性器に対する妄想はかなりのものですが、彼女がSMプレイを本当に望んでいたわけではありません。(だから、いざその場面になったとき、「ぶたないで」と言うわけだし)
 単に、彼女はワルターを試しているように思えました。この男はどこまで自分を愛してくれるのか、どこまで許してくれるのか。
 しかし、エリカの真剣な問いかけも、若いワルターには自分を焦らしているようにしか思えない。その裏にあるものを、彼は考えようともしない。
 
 エリカの中に土足で踏み込んでおきながら、彼はあっさりと彼女を踏み越えていく。彼にとって、結局のところ、エリカは「彼の人生における階段の途中」でしかないのかもしれません。
ひたすらに残酷です。そしてそれを冷徹に見つめる、ハネケの視線。最後のワルターの登場シーン(演奏会場にて)は、あまりにさらっとしすぎていて、最初は誰なのか分かりませんでした。
エリカは去ってゆくワルターを見やり、顔を歪ませ、持っていたナイフを胸に突き立てる。死ぬことはできない。が、彼女の目は外へ向かう扉を見つめている。そして彼女はピアノも母親も捨てて、会場を後にするのです。

 「年上の女が若い男に入れ込んだ挙句、ボロ雑巾みたく捨てられる」的なストーリーは数多くありますが、ここまで徹底して客観的に撮った映画があっただろうか…。涙が出るわけでもなく、ひたすら痛い映画。しかも、その痛みは、ハネケ風に言うなら、「面と向き合いたくないものと対峙」させられた時の痛みでしょうか。
 しかしわずかな希望といえば、エリカが前に歩き出したことでしょうか。最後の、会場から出て通りを歩いていくシーンはものすごくあっさりとしているのですが、それが逆に彼女の強さを感じさせました。取り乱して足をもつれさせることもなく。やや早足で、いつも通り、彼女はしっかりと、堂々と歩いていました。


 何から言っていいのか分からないくらい、素晴らしい映画なのですが…。
 まず、役者の演技がとにかく素晴らしい。
 ハネケ独特の手法だと思うのですが、役者の顔をアップにしたり、彼らの表情を同じカットでずっと撮り続けたりと、まるで内面を抉るような描写が残酷で、すさまじい。そして、それに耐えうる彼らの演技、その表情。ワルターのピアノが鳴っている間の、エリカ(イザベル・ユペール)の落ち着かない表情、絶えず動く眼差し。そのため、見ているこちらとしては二重に痛いのです。役者が上手ければ上手いほど、感情はよりリアルにこちらに伝わってきます。
 
 作中、イザベル・ユペールは全くのノーメイクで撮影に臨んだそうなのですが、素顔がこんなにのっぺりしていたとは知りませんでした(汗)。本当にノーメイク??ブサイクメイクをしてるんじゃなくて?
 また、ブノワ・マジメルも、「王は踊る」くらいしか知らなかったのですが、こんなに上手いとは知りませんでした。(ついでに、こんなにいい男だとも知らなかった)。ハネケの撮り方が上手いんでしょうか?(笑)

 その他、よく分かりませんが、この作品、いろんな伏線やキーポイントがあるような気がします。いくつもの小道具があって、それを読み解く作業も楽しそうです。シューベルトの音楽の解釈って、どうなんでしょう?クラシックは全く詳しくないもので、その辺がちょっとよく分からない。

 原作はオーストリアのノーベル文学賞受賞作家、エルフリーデ・イェリネクの同名の小説。この作品は当初ポルノだなんだと騒がれ、2004年のノーベル文学賞受賞後も、審査員の一人が「あんなポルノ作家に賞を与えるなんて」(イェリネクのその他の作品でも、やはり「ポルノ」と批判されているものがあります)と、審査員を辞任するなど、ニュースに事欠きません。イェリネク自身は、「この作品は、ポルノ以外の全てです」と言っているのですが。私も、この作品を「ポルノ」と括ってしまうのは難しいんじゃないかな、と思います。読んでいる方を息苦しくさせるような緻密な文体は、圧巻です。こちらもオススメ。(ただし、映画とは話の筋がかなり違います。この映画も、あの原作を上手く再構築したなぁ…)


☆2001年カンヌ国際映画祭グランプリ、最優秀主演女優賞、最優秀主演男優賞受賞
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by azuki-m | 2006-02-19 21:22 | ■映画感想文index

男子フィギュアスケートとか。(その3)

ついに男子フィギュアスケートが終わってしまった…。
このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、五輪(以下略)。
………。
……………。
いや、ホントにスミマセン…。


 …やりました、プルシェンコ。
 金メダルです…。
 なんかもう、点数がすごすぎて、なんと言っていいのやら。
 大会前から、彼が金メダルを獲るだろうと言われ、この大会は彼が4年前の雪辱晴らすための大会として、マスコミでもさかんに報道されていましたが…。
 何はともあれ、金メダルにキスする彼には、感慨深いものが。4年待ったんだもんね…。

 彼の出来は、随分調子を落としてるな、と思ったのが本当のところ。
 いつものあの、「わけがわからないけどすごいステップ」を見慣れている立場としては、随分おとなしいステップだったと思います。また、スピンもなんだかゆっくり…?
調子が崩れていたのか、プレッシャーなのかは分かりませんが、でもさすがプルシェンコ、ジャンプは絶対に外さない。
 決めるところはきっちりきめられる強さというのが、こういうところで出ますね。

 そして、他の選手について。

 ウィアちゃんはちょっと残念だったかもしれません・・・。でも、確かに調子が悪かった。
 傍目にも緊張してるのが目に見えてたし…。少し痛々しかったです。
 叶うことなら、次のバンクーバーで頑張ってもらいたいです。

 バトル君。
 やった!やったよ、バトル君!!
 まさかあそこからここまであがってきてくれるとは、私も思わなかった。
 4回転が飛べなくとも、彼はすごい選手です。本当に綺麗な滑り。ここまで長かった…(泣)。
 オリンピックでメダルを獲れるまでになるなんて、昔は思ってもいなかったよ。
 この人のエキシを見るのがすごく楽しみです。今回は見れないと諦めていただけに…。

 ライザチェック。
 この選手も本当によく頑張ってくれました。
 ショートの最悪な出来から、中一日はさんで、ここまで復活してくれるとは(泣)。
 お客さんからたくさん拍手をもらって、彼もすごく嬉しそうで。
 メダルはとれなかったけど(4位)、自分の演技を誇りに思うってコメントしてましたしね。

 ランビエール。
 転倒はあっても、そのミスを引きずらない、いい演技でした。
 プレッシャーはあったと思うのですが、ものすごく落ち着いた演技。
 この辺はやっぱり世界選手権王者。プルシェンコ不在の大会で勝ったことに、いろいろ言われていたようですが、世界選手権王者の肩書きは肩書き。
 表彰台の涙が印象的でした。…引退しちゃうんだろうか…。さびしくなるよ…。

 ジュベール(ヤグディン2号)。
 ドラマチックなプログラムではあったのですが、点が伸びない…。
 ジャンプのいくつかが加点されてなかったんだろうか?確かに調子はあまりいいとはいえませんでしたが…。少し残念です。

 高橋選手
 彼も本当に残念です。メダル云々ではなく、彼が納得できる演技ができなかったということが。ただ、彼は次につなげていくつもりでいるということ、そしてこの経験が彼をまた成長させてくれるであろうということが救いです。
 彼の滑りは、最終滑走にあっても美しいと思うのです。氷に張り付くような、伸びやかな滑り。次のバンクーバーでは頑張ってほしい。まだ19で、しかも初めてのオリンピックでこの成績なら、次は期待できる。


 そして、改めてプルシェンコ。
 終わったあと、肩から力が抜けました。4年はホントに長かった…。
 彼はまだ現役続行でいてくれているようなので、ぜひとも次のオリンピックでも金を!(笑)
 彼の存在は、男子フィギュア界にあって大きいと思うのです。まだまだ現役でいてほしい。
 しかし…本当に、よかった。
 お疲れ様でした。


 そして、私もお疲れ様(泣)。
 さすがに連日の3時起き、4時起きは疲れるんですよ…。
 ドラマを生で見るってのは辛いですね(泣)。 
 次はアイスダンスに女子か…その後にエキシ…(遠い目)。

だから、このブログは映画感想文ブログで…。
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by azuki-m | 2006-02-18 02:40 | ■トリノの思い出

男子フィギュアスケートとか。(その2)

 あと、数時間で男子フィギュアスケート・フリープログラムの開始です…。
 ドキドキしてきた。ショートプログラムを見る限り、プルシェンコは大丈夫なようなのですが、
 ドキドキすることに変わりはなく。本日も仮眠の後、正座で観戦です。
 このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、五輪ということで(以下略)…。
 …ともかく。
 ……スミマセン…。


 ショートプログラム。
 プルシェンコは最初の4回転でやや体勢を崩し、4年前の二の舞か、と体を固くしたのですが、力づくで体勢を立て直し、見事なコンビーネーションジャンプ。
 終わってみれば、2位のウィアちゃんと10点以上の差をつけてのトップです。
 まさしく圧倒的。

 …しっかし、相変わらずわけのわからない、でも難しいことだけは分かる、息苦しさ満点のプログラムですね…。
 この人のプログラムを見た後だと、どんな人のプログラムでも和みます。
 バトル君なんて、半笑いで見てました。…可愛い…。(いや、すごく高度なプログラムなんですけど。彼のキャラクターがひとえに可愛くみえてですね:汗)

 そんなバトル君。
 なぜか彼だけは君付けにしてしまうのですが、彼もプルシェンコと同じく長く見てきた選手です。昔は4回転ができないことをかなり気にしていたようですが、今はステップという分野で開花。もともと、滑りはとても綺麗でしたしね。ものすごく美しい、魅せるプログラムを作ってくれる人なので、見ていて非常に楽しい。今すぐプロに転向できそうな人です。NHK杯にずっと出てくれていて、馴染みの選手。
 なので、ショートの結果はちょっと意外でした。…こんなに崩れてしまうとは…。

 そして、その他気になる選手ですが。

 まず、ウィアちゃん。
 彼も何故かちゃん付けです。初めて見たときは、「女の子??」と勘違いしてしまいそうになったので…スミマセン。
 彼も突如としてNHK杯に出てきて、その表現力の素晴らしさに唖然とした選手。よく言われることですが、非常に繊細な演技。五十嵐さんも、「こうした選手が突然オリンピックの前に出てきて、メダルを獲るというのはありうること」(うろ覚え)といった事をいってらっしゃいました。本当に、すごい選手です。多分、彼はメダルを獲るんじゃないかな、と私も思っていますが。
 どうでもいいですが、応援幕の中の、「Angel」てな表現には笑いました。…そうか、天使か…。いや、いいんですけど…。似合いすぎてて、どうしたらいいのか分からない…。

 ランビエール。
 彼も、昔から注目していた選手ではありますが、こんなに上手かったのかと。
 世界選手権王者ですが(プルシェンコは棄権)、ジャンプが決まると迫力がありますね。あと、スピン。フリーでの調子はどうでしょうか。今回は怪我のせいか、あまり調子がよくないみたいですが…。

 ジュベール。
 私はひそかに彼を「ヤグディン2号」と呼んでいた時期がありまして、彼にはちょっとした恨みがあります(笑)。でも、うまいんですよねー…。正確な滑り、ジャンプ、ステップ。バランスのとれた選手です。やっぱりヤグディン2号だ。

 ライザチェック。
 彼も地味ながらしっかりした滑りをする選手なので、私のお気に入りです。なので、ショートの結果はものすごく残念だった…(うわぁぁん:泣)。フリーでの巻き返しを期待したいです。

 そして、高橋選手。
 正直言って、上位の選手が崩れない限り、メダルは難しいだろうなと思っているのですが、彼のフリーのプログラムはさすがモロゾフ作、完成度の高い、ドラマチックなプログラムになっていると思います。オオトリだし、ミスがなく、スタオベをもらって終わればちょっと分からない…。
彼のステップはやっぱり好きです。せめて、笑顔で演技を終えてほしい。

 …最後に、プルシェンコについて。
 何が何でも勝ってほしい。
 本当に勝手な言い分ですが、負ける彼はもう見たくないです。
 彼が俯く姿など、絶対に見たくないのです。
 4年待ちました。ルールはどんどん変わるし、怪我はするし、若手は出てくるし、大変な4年でした。
 前回のオリンピックで負けてから4年。
 今回は絶対に勝ってほしい。
 号泣する準備はできてます。

 …っていっても、あの息苦しいプログラムのおかげで、彼の演技が終わった後はへらへら笑っちゃうんだけどね…。
 ドラマが台無しです…うわぁぁん!(泣)
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by azuki-m | 2006-02-17 02:18 | ■トリノの思い出

「ジャーヘッド」

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監督:サム・メンデス
脚本:ウィリアム・D・ブロイルズ・Jr
音楽:トーマス・ニューマン
出演:ジェイク・ギレンホール、ピーター・サースガード、ルーカス・ブラック、ジェイミー・フォックス

 見ようかどうか迷っていたのですが、トレイラーにやられて見に行くことになった作品。
 正直期待をしていなかったのですが、ここまでいいとは思わなかった…!
 この映画で、監督は「戦争」自体について、いいとも悪いとも判断をしていません。ただ、「戦争とはこうしたものだ」と淡々と描き、それは最後まで変わりません。作中、特に大きな盛り上がりがあるわけではなく、冷静に映像を撮っていくのです。
 これは、「戦争」に行った若者の物語ですが、今までの戦争映画とは明らかに一線を隔しています。「現実の戦争」とは何か。私達が見ていた「戦争」とはなんだったのか。そして、「戦争」はいったい誰のものか。
 ここに出てくるのは、銃を一発も撃たない戦争。前線にいる兵士たちの緊張と怠惰、そして焦燥が、痛いほど伝わってきます。

乱暴に要約したストーリー:
父と同じ道を歩むため、海軍に志願したアンソニー・スオフォード(ジェイク・ギレンホール)。狙撃手としての厳しい訓練を受けた後、彼はイラクに派兵される。イラクのクウェート侵攻をきっかけに、湾岸戦争の始まったのだ。イラクに苦しめられるクウェートを解放することを夢見るスオフォード。しかし、現実の戦争は、彼が思っていたものとは全く違っていた…。

 湾岸戦争が起こった時、私は意味も分からずぼんやりとテレビを眺めていた記憶があるのですが、テレビに映る映像が、なんだか映画みたいだと思った記憶があります。つまり、私はテレビで見た映像を、現実のものとは捉えていなかったというわけで。
テレビで見る戦争と、そこに立った者が経験する戦争。二つの間にははっきりとした違いがあり、前者の時間は常に動いているが、後者の時間は停滞している。

「外の時間は常に動いているんだ」

 カノジョに他の男ができたと落ち込むスオフォードに、同僚が投げつける言葉です。国のために戦っていても、自分達は外の世界から取り残されていく。テレビで放送はされていても、そこに映るのは現実とは程遠い、都合のいいように選択された映像でしかなく、彼ら自身の「戦争」で手一杯な人々は、遠いイラクの事を忘れていく。

 そんな場所に派遣されたスオフォードは、取り残されていくことに強い苛立ちを感じます。派兵はされたものの、アメリカの盟友サウジの油田を守るため、彼らは砂漠の真ん中で待機し、「想像の地雷原を進み、想像の敵を撃つ」日々を繰り返すのです。
 その中で高まっていく、戦争への期待と、銃を撃ちたい、人を殺したいという欲求。「銃なくして、自分はいない」。彼らにとって、銃は自分の半身に近い。そして、狙撃手としての辛い訓練を受け、ここに送り出された、自身の存在意義から来るものだとは思いますが、それを彼らはどこまで本気で受け止めていたのか。そして、「戦争」の意味を、彼らはどこまで分かっていたのか。
 砂漠での長い待機の後、彼らはようやく「戦争」に参加することになりますが、それを聞かされた時の歓声の場面から、彼らはすぐに「戦場」へと放り出されます。爆撃の中、塹壕にも入らず、突っ立ったままのスオフォード。この時の、スオフォード演じるジェイク・ギレンホールの顔が、私はすごく好きです。
 青空の中で降り注ぐ爆撃と悲鳴、飛び散る砂。現実の戦争を目の当たりにし、彼はこれが「戦争」なのだということを知るのです。けれど、彼はそれをありのまま受け入れるしかない。

 そして、戦争は爆撃が降り注ぐだけの、単調なものでもないのです。
 油田が燃えるシーンなどは、不謹慎ではあるのですが、非常に幻想的なシーンで、これも戦争の一部であることが分かります。サイクス(ジェイミー・フォックス)はこの風景を見たいがため、この仕事をしているのだと言います。本当に不謹慎ではありますが、残酷で、美しい場面です。それなのに、その下では油田が燃え、油の雨が降り、ジャーヘッド達の心は軋み、歪んでいく。そして砂の下には、イラク人達の黒こげの死体が埋まっている。

 たくさんの人間が死んでも、「戦争」の終わりはあっけないものです。
 突如としてその終結を告げられたスオフォードは呟きます。「一発も撃たなかった」。
 帰国し、興奮して出迎える人々の中で、彼らジャーヘッドは冷めています。
 空しさが残るのに、それでもまだ彼らは銃の感触を覚えている。「戦争」の記憶は簡単に消えるものではなく、ある種の懐かしさすら伴って、彼はこう言うのです。

「僕らは今も、砂漠にいる」



 映画好きとかいっといて何ですが、サム・メンデス監督の映画はこれが初見。「あんまり私向きじゃないかも・・・」といってダラダラ後回しにしていたのです(汗)。しかし、この話はどれもバランス良く、綺麗にまとまっていると思います。原作は本屋でちらっと見ただけですが、よくぞここまで再構築したといった感じでしょうか。
 また、作中に流れる音楽がカッコイイ。トーマス・ニューマンさん…ノーチェックだったなぁ。その他、湾岸戦争時代の曲とかが流れているようなのですが、そのどれもが場面にあっていておもしろい。特に締めくくりのカニエ・ウエストの「ジーザス・ウォークス」が圧巻。

 私の後ろに座っていたお客さんは、「今までとちょっと違う映画だよね…」と呟いていました。まさにその通り。どこがどう違うのか、うまく説明はできませんが、私もそんな感じです。一種の青春映画ではあるのですが、そう言ってしまうには全体に漂う皮肉っぽさが邪魔をする。苦くも甘くもない。淡々とした青春映画…かな。


 蛇足ですが。この映画、笑う場面じゃないんですが、どうにも笑える場面が多々あって・・・。映画冒頭のスオフォードの訓練場面とか(あんな事も大声で言わなあかんのかとか)、男同士の会話とか行動の際どさとか・・(トイレ入ってる時にドアをあけるなよとか、汚物処理って大変だなぁとか、そのサンタクロースの帽子はどこから調達してきたんだとか、っていうかどこにつけてるんだとか)。映画館で一人、笑いをこらえるのに必死でした。…あんなに笑ってたのは、もしかして私だけでしょうか。おかしいなぁ…(汗)
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by azuki-m | 2006-02-16 23:49 | ■映画感想文index

男子フィギュアスケートとか。

 …最近、仕事が猛烈に忙しいのですが、そんな忙しい中、残業もそこそこに帰ってくる自分はどうかしてると思います…。
 それもこれも、フィギュアスケートのために!(泣)
 このブログは映画感想文ブログのはずなのですが、五輪ということで一つよろしくお願いします(汗)。

 昨日は朝4時半(さすがに3時丁度には起きれなかった)起床、フィギュアペアに興奮しておりました。
 井上・ドルドウィン組に涙し、申雪・趙宏博組の復活に安堵し、張丹・張昊組に新しいドラマを作ってもらい、トトミアナ・マリニン組に感嘆させられ…。

 私は申雪・趙宏博組のファンで、二人がどこまでやれるか心配だったのですが、終わってみれば3位。二人のベストの出来からはほど遠かったのですが、それでも醸し出す雰囲気が素晴らしいのは相変わらず。
 トトミアナ・マリニン組は、正直言って、昔はそれほど好きでなかったのですが、ここまでうまくなっているとは…。「サイボーグ」などと呼んでいた私を許して下さい。にしても、トトミアナ、今の髪型のほうが綺麗です。
 ロシアのもう一組、ペトロワ・ティホノフ組も好きだったので、5位という結果と、キスクラでの彼女達の表情が辛かった…。
 ペアってのは、男女二人でするものだから、シングルとは違った重さがありますよね。一人が怪我したら、ペアの二人がストップする。シングルが一人で自分の荷物を背負うのに対し、ペアは二人で荷物を背負っている。それが楽な時もあれば、しんどい時もあって。自分ひとりではどうしようもできない競技ですから、そこが難しいですね。
 でも、今回はとってもいい演技を見せてもらって、私としては大満足。
 エキシが楽しみです。
 

 そして、これから2時間後、男子フィギュアショートプログラム!!
 とりあえず仮眠とって、3時きっかり起床です。プルシェンコの出番は2番目だ…。
 正座で観戦致します。
 彼がショートプログラムで転倒して、あれから4年。
 長かったよなぁ…。ヤバイ。自分の4年間も思い出しそうで、やな感じです(この4年間のアレコレ…うわぁぁ、思い出したくない!!)。

 なんにしても、ドラマはもう始まってるんですね。



しかしその前に、書きかけの感想文を早くアップしようよ、私…。
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by azuki-m | 2006-02-15 00:48 | ■トリノの思い出

愛する者よ、列車に乗れ

f0033713_045481.jpg監督:パトリス・シェロー
脚本:ダニエル・トンプソン、パトリス・シェロー、ピエール・トリヴィディク
出演:ジャン=ルイ・トラティニャン、シャルル・ベルリング、ヴァンサン・ペレーズ、パスカル・グレゴリー、シルヴァン・ジャック、オリヴィエ・グルメ


 ようやく、この作品の感想文を書くことができました。
 パトリス・シェローの作品は、「王妃マルゴ」以降すべて好きなのですが、この作品は特に思い入れのある映画です。
 しかしこの作品、今まで見たところ、これ以上はないというくらいばっさり評価が分かれています(笑)
 確かに、はっきり言って、一度見ただけでは何がなんだか分からない(苦笑)。もし一発で分かろうとするなら、事前にこの映画に関する情報を仕入れてからでないと難しい。(ビデオ版なら、裏にある「登場人物関係一覧」を読んでから見ることをオススメします)
 まず、登場人物に対する説明がほとんどない。
 そのくせ、ジャン=バティスト・エムリックの葬儀のために集まる人々の物語なので、登場人物がかなり多い。時々、誰が誰だか判別できなくなったり、誰が喋ってるのかわからなくなることも(笑)
 私にとっては、これ以上はないというくらい、「All is full of love」な映画なのですが。

乱暴に要約したストーリー:
芸術家、ジャン=バティスト・エムリックが亡くなった。葬儀のため、彼を愛する人々は靴と陶器と墓場の街、リモージュ行きの列車に乗る。乗り合わせたのは、甥、その別居中の妻、故人のモトカレたち、最後のカレ、看護士の妻、その娘、友人たち。そして、リモージュには故人の双子の弟が待っていた。ジャン=バティスト・エムリックの死を巡り、結び付けられ、集まった人々だが、その誰もが、人生に困難を抱えていた…。


 端的に言えば、ジャン=バティスト・エムリックの葬儀のために集った人々の群像劇。
 ですが、当然、彼らはそれぞれ自分たちの人生の困難にぶつかっています。
 故人の甥ジャン=マリと別居中の妻クレールはドラッグと縁を切り、夫との復縁を望んでいるし、モトカレの一人だったフランソワは愛と向き合うことを避け、その恋人ルイ(この人も故人のモトカレ)はそんなフランソワの冷静さに落胆させられ、駅で見かけたブリュノ(故人の最後のカレ、フランソワのモトカレ)に一目ぼれし、ブリュノは故人の死と、自分のエイズという病気に打ちのめされている。双子の弟は兄ジャン=バティストに息子ジャン=マリの愛を奪われ、そして全財産も、兄の看護士であったティエリーの娘エロディに譲られてしまう。性転換をし、「女になった」フレデリック(ヴィヴィアンヌ)は、自分の夢が叶わず、そして自分が孤独であるということを知っているが、認めたくない。
 故人をあぁだった、こうだったと言い合い、そしてそれを語ることで、彼の寵愛を得たのは自分だと言い張る人々と、そんな人々を嘲笑うクレール。そこに生まれる苛立ちと怒り。感情は生きている人間の特権であり、その生きている人間を通して、彼らはまた自分たちの人生の道を少しずつ変化させてゆく。列車の中と、葬儀の後の食事では、彼らは故人のことを考えていましたが、ジャン=バティスト・エムリックの家の後半パートからは、彼らはもう故人ではなく、自分自身の生を見ているのです。

「誰にとっても、人生って厄介ね」
 作中、クレールがヴィヴィアンヌに向かって言う言葉です。これが、彼らの全てを表現しているように思います。この言葉の意味を、これほど痛感させられる映画はなかなかないような気もします。

 葬儀が終わり、朝になれば、彼らはまたそれぞれの日常に戻るのです。ただそれも、妻と復縁して歩いて駅まで行くもの、ホテルに恋人たちを残して一人タクシーで帰るもの、妻に去られ、一人ヒッチハイクをして帰ろうとするもの。そして、巨大な家に一人取り残されるもの。一人の死によって繋がった、たくさんの人々の物語は、その葬儀が終わると同時にこうして幕を閉じるのです。

 フランス映画らしく、「愛」に対する拘りは相当なものです。私としては、ジャン=バティストがフランソワに言った、
「僕たちの間にはそれ(愛につきものの困難)がなかった。君にはいつも苛々させられた」
 という言葉がかなり気になったり。フランソワは結局、逃げているだけのような気もします。ブリュノとルイをホテルに残し、一人タクシーで帰りますが、その途中、彼がクレールに声をかけようとする(彼女の前を歩くジャン=マリを見てやめますが)のは、彼は自分と同じ孤独な誰かを探しているように思えました。


 さて。
 冒頭でも述べましたが…この映画、かなり評価が分かれます。
確かに、話も、「編集でカットされたんじゃ(汗)?」と思われる箇所があったり(時間軸がかなりあやふやです。あっちにいた人がこっちにいたり、こっちにいた人があっちにいたり・・・瞬間移動か:汗)、失礼ながら、「本当にこれは正しく訳されてるんだろうか(汗)?」と、字幕に疑いを持ってしまったり(笑)
 しかし、見れば見るほどに味が出てくる映画ではあるのです。
 名言集が作れそうな程充実した会話(字幕に疑いを持ってしまったことは事実ですが:汗)、画面を流れる数々の音楽(特に、墓場で流れるビョークの「All is full of love」とか)、シェロー門下の役者達のかけあいとその演技の素晴らしさ(キャストがありえないぐらい豪華です)、照明の見事な効果。

 脚本は王妃マルゴを手がけたダニエル・トンプソン、パトリス・シェローのコンビ+ピエール・トリヴィディク。王妃マルゴの脚本もよかったんだよね…。

 見た後、「見ないほうがよかった」と思うか、「見てよかった」と思うかは、個人の好みによります。ですが、悪意のない、全てが愛に満ちた映画だと思います。シェローの視線は、どこか優しい。

 蛇足ですが、ヴィヴィアンヌを演じているのは、かのヴァンサン・ペレーズ。
女装して、ついでに胸をちゃんと膨らませるという「体当たり」演技です。彼がハイヒールを履くシーンがあるのですが、その脚線美といったら(ペレーズによると、ちゃんと本人の足らしい…本当に??:汗)。…だから、女である私は、いったいどうしたら(以下略)

※作中の登場人物の名前があやふやで、全部書ききれませんでした。後日調べて、訂正します。

…最近、このちっさいブログにはありえないくらい、カウンタがぐるぐる回っています。
見て下さっている皆様、本当にありがとうございます。(…私が回してるんじゃないだろうな…)
この間言ったことを完遂するべく(2月6日付けブログ参照)、頑張ります…(泣)
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by azuki-m | 2006-02-12 00:50 | ■映画感想文index


「私は、断固たる楽天主義者なのです」
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