インサイド



ロード・オブ・ウォー

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監督: アンドリュー・ニコル
脚本: アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ 、イーサン・ホーク 、ブリジット・モイナハン 、ジャレッド・レト

ロード・オブ・ウォーとは直訳すれば「戦争の王」。
戦争の裏側で暗躍する、武器商人を扱った作品。
NHKのドキュメンタリーみたいで、非常に興味深い作品でした。


 しょっぱなの映像が面白いです。
 いかにして銃弾が作られ、使用されるかという過程を、銃弾の視点で描いています。銃弾の製造、点検、発送、『使用』。人の頭に命中する瞬間の、そのリアルさが怖い。
 その最初の映像の中で、箱から銃弾を地面にばさっとばら撒き、それを適当にとって銃にこめるというシーンがあります。たくさんの銃弾の中から適当にとった何発かが人間にあたり、その人の命を奪う。世の中には、どれぐらいの銃と弾が出回ってるんでしょう?そして、そのいくつが、人を殺すために使われているんでしょう?
「戦争で人々を殺すのは、核ではなく、銃だ」
この言葉が、ものすごくリアルです。


乱暴に要約したストーリー:
ユダヤ人と偽ってアメリカで生活する、ウクライナ人のユーリー・オロノフ(ニコラス・ケイジ)は、ある日、マフィアの抗争に巻き込まれ、それがきっかけで武器商人の道を進むことになる。弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)も商売に加え、彼は天才的な才能を発揮して武器商人としてのし上がっていくが…


 武器商人、ユーリは自分の才能を自覚し、ありとあらゆる場所に武器を売りさばいていますが、彼も自分のやっていることを、自分の銃が何に使われているかを知らないわけではありません。けれど、彼は武器商人としての自分の才覚を知っているから、仕事をやめようとはしない。
 それでも、どこかでいつも彼は罪悪感を感じているのだと思います。だからこそ彼は、自分を自動車のセールスマンと同格にとらえ、「セールスマンが売った自動車の事故」を引き合いにだし、彼の商品が引き起こす殺人を、ただの結果論として説明しようとするのでしょう。
 弟のヴィタリーは、兄の仕事を手伝いながらも、そんな生活に耐えられず、麻薬に溺れていきます。そしてこれで最後といって兄についていった仕事先、自分たちが売った武器で殺されようとする難民を助けようとして、逆に殺されるのです。彼は兄とは違い、普通の平均感覚を持った、普通の青年でした。ユーリ自身が言うように、弟を商売に加えたのは、彼の最大の過ちだったのです。

 しかし、彼が武器商人として天賦の才を持っていることに変わりはありません。法の目をかいくぐり、戦争の匂いをかぎつけ、ありとあらゆる場所に武器を売りつけに世界を駆け回ります。
 実際、こうした武器商人たちを直接取り締まる国際的に統一した法律はないそうなのですが、そこに現れるのがインターポールのヴァレンタイン刑事。この刑事が、まるで「レ・ミゼラブル」のジャベール刑事みたいにしつこい(職務に忠実だといえ)。
 彼は最後にユーリを追い詰め、逮捕しますが、そこでヴァレンタインは自分の属す世界の無力さを知るのです。

「私の一番の顧客は、あんたがたの大統領だ」

 そうして結局、釈放されるユーリ。
 それでも、彼はそのことに対し、何の感情も持っていません。また、いつもどおり、客に武器を売りに行く毎日が再開されるだけです。


 映画としての作りがどうというより、私にとってはとにかく考えさせられる映画でした。
 日本の武器輸入量はどれぐらいなんだろう、とか。
 税金がどれだけそれに費やされてるんだろう、とか。
 非常に間接的ではあるけれど、私もまた彼ら武器商人の「お客さん」なんだろうなぁ、とか。
 監督によると、実在の武器商人達の話をもとに、この映画を作ったとのこと。
 映画を見るだけなら面白いのですが、よくよく考えてみると、ものすごく怖い話です。


 アメリカからの資本が全く集まらなかったというのも頷ける映画。
 面白いかどうかは、個人の好みによると思いますが、見て損はない映画です。


……それにしても。
映画本体とは全然関係ないですが。
ニコラス・ケイジとジャレット・レトが兄弟ってのは、ちょっと無理があるような気がしないでもない…。いや、それを言い出したら、ウクライナ人って設定がそもそも…。(すみません、エラソウな事言ってなんですが、ウクライナ人って言ったらサッカーのシェフチェンコ、フィギュアスケートのリアシェンコ、ユーシェンコ大統領くらいしか知りません)
私、30seconds to Marsが結構好きだったりするんですが。…そっちの活動もがんばって下さい、レト氏。
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by azuki-m | 2006-02-03 02:27 | ■映画感想文index
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