インサイド



ダウン・イン・ザ・バレー

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監督:デヴィッド・ジェイコブソン
脚本:デヴィッド・ジェイコブソン
出演:エドワード・ノートン 、エヴァン・レイチェル・ウッド 、デヴィッド・モース 、ロリー・カルキン

 

 舞台は、ロサンゼルス近郊の、サンフェルナンド・バレー。
 まず、この舞台の特殊さに呑まれました。
 こういったらなんですが、私の住んでる町にちょっと雰囲気が似てるかも。つまり、それだけ、「郊外」っぽさが出てるということで。「郊外」っていうのは、旅行とかしてても思うことですが、各国、どこかちょっと似てる気がします。大都市に近いと、便利ではあるんだけど、それだけ街に統一感がないというか。
 張り巡らされた交通網(映画の中では飛行機と12本もあるフリーウェイ)、古くからある建物と建設中の住宅、その間にところどころ広がる草原。のどかで乾いた空気と、単調で何も起こらなさそうな日常。 その上、エドワード・ノートン扮するカウボーイが画面を彷徨い、もう、何がなんだか分からないというか、境界がものすごく曖昧な映像になっています。
 映画は、そんな街(舞台)にふらふらと降りてきたカウボーイと、街の象徴であるフリーウェイに唾を吐きかける姉弟の映像から始まります。

乱暴に要約したストーリー:
17歳のトーヴ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は刑務官の父ウェイド(デヴィッド・モース)と弟のロニー(ローリー・カルキン)の3人暮らし。厳しい父や、弟の世話に、彼女は飽き飽きしています。そんな中、ビーチに行く途中、ガソリンスタンドで会った、カウボーイの格好をしたハーレン(エドワード・ノートン)に出会う。彼らは惹かれあい、恋に落ちるが、ハーレンの奇行を見てウェイドは交際に猛反対。ハーレンは、そんな頑固一徹なウェイドから、トーヴとロニーを逃がすことが、自分の使命だと思うようになるが…


  
 単調な日常の中に、突如として飛び込んできたカウボーイは、彼女にとって全く異質なものです。ただ、彼女は、若さゆえか、それに好奇心と魅力を感じる。彼女は彼を深く愛するようになりますが、彼女の父親にとって、カウボーイはとてつもなく胡散臭く見えます。そりゃ、そうでしょう。あからさまにアヤシゲなカウボーイ。現実に適応している大人なら、誰だって警戒します。しかも、彼女の父は刑務官です。犯罪者を日常的に見ているため、ハーレンの嘘を嗅ぎ取り、警戒するのです。

 ハーレンの行動は、最初のうちは純粋に見えます。トーヴを喜ばせようと牧場につれて行き、白馬に乗っけてみたり、弟のロニーを連れ出しては銃の撃ち方を教えてみたり。
 「君達はやりたいと思うことをなんでもできるんだよ」。
 彼は家でも学校でも居場所を見出せないロニーにも、憧れの人となります。
 しかし、話が進むにつれ、彼も曖昧になっていきます。トーヴを愛するがゆえ、彼女を連れ出そうとするのですが、拒絶され、彼女を誤って撃ってしまいます。しかし、その後の彼女の体に取り縋るシーンまでは、彼女を愛する男の行動として分からなくもないのですが(撃ったのは不幸な事故として、映画ではよくある場面ですし)、彼女の父親が帰ってくるや否や、病院に電話もせずに逃げ出してしまいます。しかもその後、自分で自分の足を撃ち、「ウェイドが撃ったんだ」と嘘をついて、ロニーを連れ出してしまう始末。
 ですが、それでも、彼は絶対の悪人ではないのです。絶対の善人でもないのですが。

 このカウボーイが、なぜカウボーイの格好をして、谷に現れたのかは、少しよく分かりません。が、(私にとっては)「孤独と放浪」をイメージさせる「カウボーイ」という異物が、突如としてトーヴ達の前に現れる設定は面白いと思いました。(また、「カウボーイ」の格好は、どこかドンキホーテを髣髴とさせます。)
 ともかく、彼の存在は一種のファンタジーですね。都会における、御伽噺というか。彼が適応できる場所は、劇中現れる、西部劇の撮影現場の中にしかないのです。
 ですが、異物である以上、彼は排除されなければならず、映画の最後で、彼は「排除」の最悪のパターンである、「死」を迎えます。しかし、そんな異物でも、ロニーはその死体に縋り付いて泣くのです。その形が少し歪んではいましたが、彼はロニーにとってヒーローでした。

 この作品はカンヌの「ある視点部門」に出品された作品だそうで、私にとっては「さもありなん」ってな感じでした(笑)
 この部門の作品は、私にとっては、難解なことが多くて(笑)。解釈に、いつも困ってしまうのです。(友人なんかは、「『ある視点からみれば素晴らしい作品』が出品される部門」と言っておりました:笑)
 なので、やはり、評価の分かれる映画だとは思います。
 私はエドワード・ノートン見たさに前売り買ってまで行きましたが、私の前の席の人は完全に寝てました(笑)。
 役者はみんな素晴らしいです。エヴァン・レイチェル・ウッドは私にとって嬉しい誤算でした。しかも、本当に美しい。10代の女の子の、成長途中な未熟で危うい美しさ。カメラさんグッジョブ!
 この後、miumiuの2005年ワールド・キャンペーンモデルに選ばれたそうですが、分かる気もします。miumiuの、あの少しレトロ感漂う広告とか、彼女の雰囲気にぴったり。これからどうなるのか、成長が楽しみです。
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by azuki-m | 2006-01-30 23:03 | ■映画感想文index
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