インサイド



「ザ・ガーデン」

f0033713_2391814.jpg監督:デレク・ジャーマン
音楽:サイモン・フィッシャー・ターナー
出演:ティルダ・スウィントン、ロジャー・クック、スペンサー・レイ、マイケル・ゴフ

 私がデレク・ジャーマン(以下DJ)にはまる決定打になった作品。
 確か、エドワードⅡのすぐ後に見たような気がします。
 エイズ発症、闘病中の彼がダンジェネスの自宅に作った庭と、エデンの園について。(或いは、バビロンの空中庭園について?)
 この「ザ・ガーデン」というのは、たくさんの意味を含んだ言葉ですね。

 「デレク・ジャーマンの“庭”を撮りたかった。“最初の庭”つまり“エデンの園”という意味を込めて。例えば天国(ヘヴン)という言葉は、本当はパラダイスという意味であり、パラダイスはガーデンとも同じ意味なんだ」(デレク・ジャーマン)


 ダンジェネス、というのはドーバー海峡沿いにあり、原子力発電所がある場所。DJ流に言えば、映画で見るようなイギリスの風景(広大な自然、緑)とはかけ離れた地区。
 死ぬまでの10年間、彼はそこに居を構えていたそうです。
 これもなんだったか、彼の自著に、ダンジェネスの漁師のコテージが売りにだされているのを見て、ティルダ・スウィントンが、「ここにしなさいよ、デレク」と彼に勧めたとか、そういう話があります。(グッジョブ、ティルダ!!)

 非常に不思議な映画。というより、不思議な映像。
 DJの官僚と原発への反抗、ダンジェネスの荒涼とした風景と織り交ぜられられる彼の心象風景、彼の庭、聖書、そしてエデン。
 ありとあらゆるごちゃまぜの映像の中に、ときどき挟まれる彼流の聖書の物語がなかなか面白い。彼の対象の描き方というか、パロディは、いつもながら独特で興味深い。私が彼が好きなのは、このパロディ(或いは脚色)の仕方が好きだ、っていうのも一つの理由なんですが。
 追放されるアダムとイヴ、誘惑者の蛇(男)、パパラッチに追い回される聖母マリア、イエスに洗礼を施す(?)ヨハネ。
 この映像は、二人の青年(恋人たち)の映像へと切り替わります。(彼の設定では、イエスは洗礼者ヨハネに惚れていたことが前提になっているようなので、そういうのを踏まえながら見てみるとけっこう面白いです。そういや、「カラヴァッジオ」の中でも、ショーン・ビーン演じるヌラッチオはヨハネのモデルとなったりしてますね。つまり、この青年たち(恋人たち)は受難者として書かれていて、DJがキリストを描くにあたって派生した一つの形となっているのですが。)
 それから、同じく追い回される「クイア」なマグダラのマリア、首をつったユダ、ヘロデ王。恋人たちは警察(ローマ兵)に突き出された後、茨の冠(ブルーベリー)を被せられ鞭打ち、そして、十字架。彼らは手足を釘で打たれ、十字架にかけられて死んでいく。
 一方、復活したキリスト(恋人たちとは違う人物)は必要とされず、人々は彼を指差し、或いは通り過ぎる。虚しいシーンです。槍に貫かれたわき腹を見せたとしても、彼らはなんの注意も払わない。そして、庭を手入れし続けるDJ。「私は庭を歩く」

 さて。
 最初にも述べましたが、ありとあらゆる映像の詰まった、面白い映画です。いろんな解釈ができる。DJ曰く、「私の作品の中でも、批評家たちのウケがいい映画」だそうです。また、ただぼーっと映像を見るだけでもいいし、聖書やら彼の著作の文章を思い出しながら見たりとか、なんかマニアックな楽しみ方ができる映画。

 それにしても、最後のシーンは本気で泣けました。
 泣けて泣けてしょうがなかったとですよ。
 恋人たちと、ティルダが一緒になって、お菓子を食べ、それを包んだ紙を燃やし、そして拍手をするという映像なのですが。これは彼なりの、「復活と再生」を指しているのですかね…。


 決して万人向けの映画ではなく、DJを好きでない人が見るなら退屈するだけであろう映画です。
 それでも、私は好きなんだな。


蛇足ですが。
モノクロの状態で出てくるティルダの映像があるんですが、なんか「パッション」に出てきたサタンと私の中ではイメージがかぶります。…にしても、最初見たときは「り、リング??」と思いました(汗)。

さらに蛇足。
ジョディ・グラバーの可愛らしいことよ…。その他の男の子たちも可愛い。DJは可愛い男の子を見つけてくるのがすごく上手いですね。
そして、ユダが首吊り状態になったまま、カードの宣伝してるのってどうよ(汗)。こ、こわいですー。
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by azuki-m | 2006-04-04 02:41 | ■映画感想文index
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